パウリー
□天秤にかけたモノ
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“トンットンッ”
「ひはははははッ、は、はぁー……ん?」
ひと頻り笑い終えた後…俺はふと、ある事に気が付いた。
「ってかよー」
“トンットンッ”
声を大にし笑われた事が気に食わなかったらしいコイツは、あぁ?と不貞腐れた声だけ寄越し、その視線はさっきからひたすらに葉っぱを詰めている手元の煙草に注がれている。
“トンットンッ”
いくらなんでも詰め過ぎだろ。
「お前さぁ…何で俺ん所来たんだ?」
“トンッ……”
そして音が止まる。
「別に此処じゃなくても良くね?」
ピシッと動きを止めたまま全く動かないコイツを尻目に、俺は言葉を続けた。
「その姿見られんのが嫌なら、とりあえずアイスバーグさんの所行って事情話して来いよ。あの人なら個室ぐらい用意してくれんだろ」
ってかこれ以上女の姿した奴に居座られるのは御免だ…早く出て行け。
「テメェの口から言いづれぇなら俺がアイスバーグさんに言っ『ホラよ』あ?」
そうだそれが良いと早々出掛ける準備を始める俺の背中に、ポンッと何かが当たって落ちる。
ポトリと足元に転がったソレは1枚の紙屑…また手紙かよ。
今度は何が…って拾い上げた紙屑を広げれば、ソレはやけにしっかりとした紙質で、片端は破りとられた様にビリビリと…?
「ってオイ!!これ右上に“W7図書館”って印字あっぞ!!お前図書館の本破ったのか?!破ったのか!!」
信じらんねぇ非街民だ!!誰かこの迷惑人をこの街から追い出『いーっから読めよ!!話し進めろ!!』何で俺が怒られるんだ?!
ムッカつくー…震える拳を抑えながら、俺はいくつかの小さな挿絵と共に、細かい文字が続くその一つ一つを目で追った。
ネコネコの実……ウシウシの実…いやモデル麒麟って何だよ。1つの実にモデルタイプありすぎだろ。案外悪魔の実ってヤツも適当だなー。
は?ヒトヒトの実?うわ要らねー。しかも"ホモ・サピエンス・サピエンスになれます"ってもう少しなんか有るだろ?!
"人間になれます"じゃ駄目なのかよ!!マジ意味分かんねぇ!!ってかゾオン系ばっかだな?!
「………は?オイ、この最後のヤツって、もしかして…」
『…分かったかよ。俺が此処以外に行けねぇ理由』
「…いやワリィ、全っ然分かんねぇ」
なーんでだっよ?!なんて怒鳴られても分かんねぇもんは分かんねーよ。
再度視線を落としたその紙に描かれていた変な模様の果実、その横に書かれたその果実の名前と、説明書きに並べられていた言葉は…
“メスメスの実”
“同種族が発情期にある際、全ての雌の頂点に己を置ける。雄は最良の種を排出し、この実の能力者はその内から最良の種を選別する”
尚、まだ全てを解明出来てはいない。って…どういう事だよ。
『つまり!!俺は今、野郎共がこぞって抱きたくなる女の身体になっちまってるってこと!!』
今外出たら大変な事になるぞ?!なんて言われてもなぁ…
「別に男から女になったってだけじゃねぇか」
俺なんともねぇし。