混迷∞青年記@ 第一章〜第六章

□第一章第五話
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『なんでお前がこんなところにいんだよ』

『北倉がもう時間終わってるのになかなか帰ってこないって空から連絡があったんだ!
それで来てみればっ』


春原は龍崎の胸倉を掴んで持ち上げる


『北倉は俺のだ!手だしすんじゃねえ!』

『…あ?じゃあお前がマーキングしたのか?』

『そうだ、何が悪い』


マーキングマーキングって…
犬かお前らは
俺は電柱じゃないんだぞ


『けっ、あんな薄いんじゃどうせ遊びだったんだろ?』

『俺の時はまだフロント専属だなんて決まってなかったからはっきり残せなかったんだよ!』

『知ってからも付けようとしてなかったんじゃねえの?』

『落ち着いたらのつもりだったんだ、それを横から盗むようなマネしやがって…!』

『何だ?殴るのか、止めておけよお互い身体に傷はつけたくないだろ?』

『おい、2人とも少し落ち着けって…』


銃口戦のごとく言葉を飛ばす奴らの間に俺が割って入る
まったくどうしていつもこんな役なのだろうか
2人の視線がこちらに向く

すると春原はロッカーに龍崎を突き飛ばし、俺の方に寄ってきた


『大丈夫か?怪我とかは…』

『怪我はしてないけどな…
この手を自由にしてくれないか、痣になりそうなんだよ』


後ろで拘束されてることを示しにがちゃがちゃと金具の音を立てる
春原は俺の後ろに回ると手錠をいじり始めた
どうやら外れる仕組みがあるらしく、鍵も無くそれは外れた


『何だよヒーローぶって。お前もそいつモノにしようとか考えてんだろ?』

『お前みたいに乱暴な真似はしねえ』


ぎゅ、と後ろから抱きつかれる


『奪うってなら奪ってみろよ、させやしない』

『ちっ…覚えてろよ』


2人の睨み合いは止まることなく続き、龍崎が部屋を出て行った
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