混迷∞青年記@ 第一章〜第六章

□第二章第六話 【前編】
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この風俗店は必ずしも行為をしなければならないと言うわけではなく、普通に娼夫と遊ぶこともできる

例えば外出したいのなら受け付けに申し出ればその時間内外で映画をみたいカラオケにいったりすることも可能だ
(ただし娼夫の分の代金はお客持ち)
それと出張なんかも地域限定でやっているので予約さえいれて貰えば娼夫が指定の場所へ出向く
(それにかかる移動費、宿泊費はお客持ち)


そんな訳なのでフロントには色々なおもちゃが置いてあったりする
部屋から連絡があればそれを空いているフロント係が届けると言うわけだ
基本お客と遊ぶものではあるが、同じものが複数個あって使われていないものがあれば
フロントに申請したら借りることができて娼夫たちだけでも遊べるようになっている


ある日俺がフロントの勤務時間を終えるころに
空が受け付けにやってきた


『やっほーお疲れ様!』

『ありがとう、でもわざわざこんなところまできてどうしたんだ?』

『おもちゃ借りに来たんだけどいいかなっ?みんなでやろうよ!今日は珍しく兄貴が部活なくて早く帰ってくるからさっ』


空は興奮しながら言ってきた

ただ今の時刻午後4時少し前

嵩海の普段帰ってくる時間は7時頃なので早いといったら早い
部活をやっていてもここから電車で数駅のところの公立の学校に通っているので通学時間は短く
とても遅くなるということはない


『そうだな…春原達ももうすぐ帰ってくるし、たまには遊ぶか』

『うん!』


因みにあの二人が帰ってくるのは5時くらい

春原も嵩海とは違う近くの公立に通っている

龍崎は自分から何処の学校に通っているかは言わないが
スクールバックには名の通った名門高校の名前が刺しゅうされていて
調べてみたところ彼の着ている制服と同じだったのでそこに通っていると見ていいだろう

空曰く、あの2人は同じくらい頭がいいらしい

2人は通ってる学校が違うので比較できないのではないかと思ったが
なんでも全国統一テストで同一だったり数点差だったりで毎回成績優秀者名簿に名をのせているんだとか

一方嵩海部活まっしぐらで成績はあまりよくないらしい…

空は勉強を見るかぎり壊滅的な英語を除けばそこそこできるようだ

『で、何を持ってくんだ?』

『16番のやつ!』

『16…ちょっと待っててくれ』


16と番号のかかれたシールが張ってあるフランスパンを入れるような袋を取り出す

中身に入っているかものは想像よりすこしずっしりとしていた
一見して何が入っているか分からないようにように袋に入っているから俺にはこれが何か分からないが
番号で注文をする娼夫たちは中身が何か把握している


『これ…みんなで遊べるもんなのか?』

『スリル満点だよっ!』

『スリルか…まぁいいや、着替えたら部屋戻るから先もどっててくれ』

『はーい』


そういって袋を持って小走りに寮に戻る姿はまだまだ幼い
そうだな…
いつもは互いに忙しいし、仮に仕事がなくても彼らは勉強があるので実質一緒にいるのは夕飯とその後の30分くらいだ
たまには息抜きにそういうので遊ぶのもいいかもしれない

ただ1つ気になるのは…


アレが何かということだ
普通のものだと言うことを祈る
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