混迷∞青年記A 第七章〜

□第七章第一話
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嵩海のバスケの試合も勝利をおさめ
兄弟は母親と会うことが叶い
空も元気を取り戻すことができた

そんなわけで休日である今日、皆で夕食を外ですることに
考えてみればいつも共に食事をしているが外食は初めてだ
食道だとメニューが限られているので好みとかわかりずらいけれど
今回のことで皆の好きな食べ物とか把握できたらなぁ…なんて思う


『よーし、じゃあ嵩海!決めてくれ』

『おっけー!まぁ既に決まってるんだけどね〜』


言って嵩海はバッグから飲食店の割引券を取り出して俺たちに見せる
…流石体育会系男子
割引券にはどでかく『焼肉バイキング!』と書かれている


『わーい!兄ちゃんナイス選択!』

『食べ盛りだからね、思いっきり食べれるところにしたよ』

『よーし食い尽くしてやろうぜ!』


久々の焼肉か、なかなか楽しみだ
でもな…こいつらに肉全部もってかれそうな気がする
俺もそうだったからよく分かるが、食べ盛りの男子高校生を舐めてはいけない
ホントあり得ない量平らげるから

しかしテンションMAXの3人に対して1人浮かない様子の龍崎
首を傾げて割引券をじぃっと見つめている


『どうした龍崎?焼肉嫌いか?』


気になって声をかけてみると、龍崎は『いや…』と頭を掻きながら
あとの3人から隠れて俺にそっと聞いてきた


『…焼肉バイキングって何、海賊か?』


………え?


『焼肉は…そうだな……』


なんというか、身近なことすぎて逆に説明に困る
それ以前に焼肉を知らないってこと自体に驚いた


『自分で好きな肉焼いて食べるのが焼肉…かな』

『俺調理なんてできねえぞ』

『調理ってほどのものじゃなくて、ひと口サイズに切ってあるからさ
それを網で焼いてタレつけて食べるんだ』

『はーん…』


…どうやら本当に知らないらしい
今時珍しい奴だな…


『じゃあバイトキングってのは?』

『食べ放題って意味』

『飽きそうだな』

『あー違う…ビュッフェって言ったら分かるか?』

『あぁ、あれな。理解した』


むしろ何故そっちが理解できるのか
謎な奴…
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