混迷∞青年記A 第七章〜

□第八章第二話 ※
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暗い借金の話を終え、今度は寮生活での楽しい話を報告している時だった
途中までうんうん、と相槌を打っていた春原だが少し前から顔手で覆ったり、机に突っ伏してみたりとだいぶ落ち着きがなくなっていた
春原は空と違って普段の長話でも退屈を表にだしたりはしないので、具合でも悪いのかと潰れている春原に問い掛ける


『なんか身体が…っつか顔が熱くって』

『はぁ?熱でもだしたか』

『いや…なんかそうじゃない…』

『どぉーれ、お姉さんにみせてごらん』


そう言って店長は春原の額に手を当てたが、熱はないと手を引いた
けれどうーんと唸り声まであげ始めたものだから何でもないってことでもないだろう
全く、どうしたって言うんだ…


『具合が悪いなら、もう帰るか?』


声を掛けてみたはいいけれど、春原は首を横に振るだけで何も言わない
言えないのかもしれないが…
開店時間までまだ時間があるとはいえ、店の中でぐったりされては準備の邪魔になってしまう
さてどうしたものか


『動けないんならハタチちゃん、店の奥の個室のソファーに寝かせて来いよ
あそこなら誰も使わないしゆっくり出来ると思うぞ』


奥の個室か…
確かにあそこは仮眠くらいにしか使われないし、店からも離れているから丁度いいかもしれない


『じゃあ…ちょっとお借りします
行けるか春原?』

『う…』


俺はふらふらとおぼつかない足取りの春原を支えながら奥の個室へたどりつくと、ソファーに春原を横にさせた
さっきまで店長が仮眠をとっていたせいか冷房がまだ効いていたので、設定温度を少し上げ、ブランケットを1枚掛けてやる


『じゃあここで少し休んでろ
もう少し話したら迎えにくるから』

『んん…わり…ぃな…』


春原は相変わらず唸りながら顔に手を当てている
店長は熱はないって言っていたけれど、微熱くらいはあるのかもな…
なんか顔も少し赤いし
でもそれくらいなら少し休めばすぐ楽になるだろう

そして俺は部屋の電気を暗くして店に戻った
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