混迷∞青年記@ 第一章〜第六章

□第一章第四話
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事務にて


『北倉君か、話は聞いてるよ。入っておいで』


事務に居たのは中年の頭皮の風通しがよくなってきたくらいの男性


『失礼します』

『まぁまぁ座って』

『ありがとうございます』


今まで受けてきた面接とは似ても似つかない
それでも下手に相手の機嫌を損ねて嫌なところに回されたらたまらない


『同室の空くんとは仲良くできた?』

『はい。兄である嵩海君も紹介してもらいました。
カードを持っていない私に食費をだしてくれました』

『カードについてはごめんね。登録するのに少し時間がかかるんだ。もうできてるから後で渡すよ。
じゃあ早速仕事についてなんだけど…本当なら空君たちと同じようなことをしてもらいところだったんだ。』


本当なら…?
じゃあ何に回されるんだ?


『君K大学でてるよね、履歴書見せてもらったよ。名門校じゃないか
…まぁそんな真面目ちゃんをハメるのがいいって人もいるけどね』


何が言いたいこのハゲ
残りの髪の毛引きちぎんぞ


『はい、文学部にいました』

『君ならうちの店で娼夫として充分やっていける…そう思うんだけど
君にはこの学歴を敬してフロントに立ってもらうよ』

『フロントですか?』

『そそ。受付でお客様の希望を聞いて、その希望に合った子を部屋に呼び出す係さ。
今までは空きの娼夫がやってたんだけどトラブルも多くってね…その子目当てでお客が来たりすると相手できないし。
だから専属のフロント係をお願いしようと思うんだ。いいかな?』

『…はい。やらせてください』


…とりあえず…俺は身売りせずにすんだ…のか?


『そうか、よかった。じゃあ後でフロントの横に立たせてもらって仕事内容教えてもらって?』

『わかりました』

『期待してるよ…でももし成果が表れないようなら…
そのときは娼夫として身体売ってもらうからね』


成果って…客の人数か?


『期間は1ヶ月。この1ヶ月で顧客数に変化がない、または減っているとかなったら身売り、これでいいね?』

『…はい』

『ようし、じゃあこれが君のカードだ。これからよろしくね』

『こちらこそよろしくお願いします』


1ヶ月…
それで客の人数増やせって無理があるんじゃないか?
それは宣伝とか…そちらに力が入ってなければ難しいわけで…

…接客で客を呼び寄せる…か

考えてみれば、その辺はホテルマンの仕事だって同じだろう
客がもう1度来たい
そう感じてもらえるように
そう思えば、経験としては悪くない気もする

自分の名前と顔写真に役職の印刷されたカードを受け取り、約束の時間まで部屋にいるようにと指示を受けたので
俺はその場を後にした
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