混迷∞青年記A 第七章〜

□第七章第三話
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休みになるのは学生だけじゃない
まだ大学生は休みに入ってはいないけれど、大人も休みの人が出てくる
そうなると地味に客の数は増えきた
いや、正確には来る客の頻度が上がったと言った方が正しいか

つまり俺や娼夫達の仕事は増えていた

春原はいつもと変わらない時間に出張に行ったし、龍崎も午後に予約が入っている
俺はというと勤務時間はいつもと然程変わらないが、仕事の量は断然増えていた

娼夫達だってまだ学生が多いわけなので旅行にいったりする人もいるし
長期の休みなので泊りがけの出張なんてのも入り、スケジュール管理はいつも以上にややこしい

因みに春原の出張は日帰り
今朝8時には寮を出て行った
帰りは19時くらいになるらしい

そしてもう1人の受験生
嵩海はというと、時は2時間前に遡る


「んじゃ俺は部活行ってくるから空のことはよろしくね〜」


と、それだけ言い残して元気に寮を出て行った
夏休みだというのに普段の生活とたいして変わらない時間に出て行く
兄の場合体育推薦で進学するらしいから部活は気が抜けないのだろうけど弟は違う
学力勝負100%だ
あ、内心もあるからそうとは言えないか


『ずっと寝てるのも体によくないしな』

『起きてもずーーっと室内にいるっていうもの体に悪いよね』


うーん…そう言われてしまうと返せないんだが…


『しかも二十歳なんて学校もないんだし、外なんてろくにでてない』


……。
最後に出たのは、先週の休みに買い出しに行った時か?


『なかなかの運動不足ですな!』

『うるさいな…しょうがないだろ、機会がないんだし』

『機会は待つもんじゃない!作るもんなんだよっ!』


おいコラ
もっともらしいことを言うんじゃない!


『そんな訳で!今日は1日外で体を動かすよ?』

『は!?こ、こんな外暑そうなのにか…?』


しかもまだ昼前
これから日光照り照りになってもっと暑くなっていくというのに…
ただ外に散歩しにいくならまだしも、運動するだと?


『暑いからこそ汗流すんじゃないか!』

『いやそれ倒れるだけだって!』

『まだ若いしこれくらいで倒れてたら生きていけないよ?』


うぅ…若いって言っても運動不足だから何とも言えないんだが

けれど流石にそれ言い訳に室内に閉じこもってるというのもやっぱりアレだよなぁ…
体力低下とかも格好悪いし
ここは空に乗るべきか


『…分かったよ、ただあんまりハードなのはお断りだぞ』

『本当?やったね!』

『ただし条件がある』


条件?と首を傾げる空
遊べるとワクワクしているところを折るようで悪いけれど
これだけは言わせてもらおうか


『帰ってきたらちゃんと勉強すること!』

『えぇ…………分かったよ…』


しょんぼりと擬音が聞こえてきそうなほどテンションが下がったかと思えば
数秒後には立ち直り、にぱっと笑顔になってこう言った


『んじゃ、真夏のプールにレッツゴー!』
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