混迷∞青年記A 第七章〜

□第七章第四話
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翌日

結局なにかいい案が浮かんだわけでもなく、俺は由奈のバイト先であるカフェの裏口に立っていた
そろそろ上がりの時間


『お待たせ!久しぶりだね』

『久しぶり、元気そうで何よりだ』

『二十歳もね』


そして俺たちは何があるわけでもないけれど、互いの顔をみて笑った


2人とも昼食がまだだったので、とりあえず近くのイタリアンのファミレスに入ることに
夏休み上旬でまだお盆に入っていないこの時間は学生達で賑わっていた
席に案内されてメニューを開けば、美味しそうな料理の写真がいっぱいだ
その中から適当にサラダとピザを1枚
俺はドリア、由奈はパスタを注文して待つ


『あ、そういえばお姉ちゃん今度自分のお店持つんだって』

『へぇ、そりゃ凄いな…』

『正確に言えば、旦那さんと一緒にオープンさせるみたいなんだけど』


夫婦で営業するのか
確か旦那さんも料理人で、色々賞もとっている凄腕シェフなんだとか
どうしよう俺何の取り柄もない…
………今は考えるのを止めよう


『賑やかになりそうだな、落ち着いた頃にお邪魔しに行こうか』

『もちろん!サービスしてもらえるよう言っておかなきゃね』


その後料理が来てからは互いに現状報告
由奈は大学の講義に大分暇が出来ているようで、サークル活動やバイトに専念しているらしい
俺は仕事のことはあまり言えないから、春原達とのことを話した
もちろん友達以上のことをしているだなんて言えないけれど…


『面白い子達だね、寮生活充実してそう!』

『でもあいつらまだ学生だから昼間はいないんだ
まぁ1人になれる時間もあって助かってはいるんだけど』

『二十歳、面倒見がいいもんね。どうせその子達の余計な所まで手、だしてるんでしょ?』


うっ…
図星を言われて反論出来ない俺に由奈はくすくすと笑って


『そこは二十歳のいい処だもん、そのままでいいと思うけど
あんまり深入りし過ぎちゃダメだよ』

『分かってるって…まったく』


うーん、奥さんに頭が上がらないってのはこんな感じなのかな…

なーんて
そんな感じで食事は進み、食べ終わって少し休憩したところで俺たちはファミレスを出た
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