斎千前提世界用
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「総ちゃぁぁ………」
涙の粒は数を増やし
声をあげて泣くことはないけども震える手で
縋り付く様子は心のどこかに不安を残していたから
「僕はここにいるよ、壱華。もう帰れないし、君を1人にしないから」
泣き顔は幼さを残し、両手を伸ばして首に腕をまわして縋り付いて。
肩口が濡れるのを感じながら沖田は壱華が落ち着くまで抱きしめていた。
しばらくして泣き疲れた少女はそのまま寝息に変わる
「1人に、しないよ………壱華」
言い聞かせるようにもう一度呟いて眠る少女を抱きしめ直してそのままソファに腰掛ける
あの時代に居た時も未来を知っているからあの表情だったのかと彼も理解していた
―――
彼女が目覚めた後、2人の交わりは再び始まった。
互いを感じるように、確かめるように
そして、壱華の不安を忘れさせるように………
身体全てで存在することを彼女に知らしめる