斎千前提世界用

□おまけ1・後編
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―――――

「あ、花火終わったみたいだね。」
「総ちゃんの馬鹿……」

遠くの方から聞こえてくる人々のざわつき
それは徐々に小さくなっているから去って行く人波なのだろうと想像ができたから

乱された浴衣
呼吸はまだ落ちついていなく、今にも座り込んでしまいそうになっていた壱華
対して多少浴衣は乱れているがそこまでひどくない沖田は僅かに苦笑を浮かべていた

「壱華、もう少し立ってて。浴衣直してあげるから」
「無理ぃ……」

しょうがないな、と沖田は壱華の腕を自分の首にまわして
少しだけ立たせてから浴衣を整えた。
そして、自分のも整えると彼女を横抱きで抱き上げていた。

「あ、総ちゃん。壬と司に綿あめ買ってこ。」
「そうだね。」

浴衣を整えられている間にだいぶ落ち着いたのか
壱華は抱き上げられたまま嬉しそうに沖田に擦り寄って子供達へのおみやげを催促していた。

浴衣姿の人目を惹く美青年とその腕の中にいる小柄な少女という組み合わせは
すれ違う人達の視線を引き寄せていたことに
気付いていないのは本人達だけだった。
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