青い炎
□10話
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4時、、、これはまたとんでもなく早く起きてしまったな。いつもは8時にSHRが始まるから7時半に学校に着くようにしている。先週の月曜日に有栖に7時に来たと話したら“そんな早くじゃ私が起きれない!!”と言ったからだ。意味がわからなかったけど、有栖が問答無用って言って理由を説明してくれなかった。
私の支度はわりとすぐに終わるから5時に起きて1時間ランニングをして、授業の予習をしてから7時少し前に家を出発する。これが先週1週間のうちに習慣化した。
習慣化してくると目覚ましが鳴る直前に目が覚めるのに、今日はその1時間も前に目が覚めてしまった。予習の時間を伸ばしても30分が限度だな。時間があるなら早く次の予定に進みたいという衝動に駈られる。うーん、、、今日は7時に学校に着いてしまうな。有栖、ごめん。
6時半に家を出る。そういえば今日はテニス部のみんなが休みなんだな。氷帝と青学と合同合宿中。土曜日からのはずだから今日で最後だ。景吾達と国光、大丈夫かな、、、。いや、国光も私のことなんてもういいって思ってるし、氷帝のみんなも私のことを既に忘れて部活に集中してるだろうからなにも起こらないか。
先週の日曜日、柳君から言い忘れていたことがあったってメールが来た。
“明日から俺達テニス部はお前に近付かないようにする。理由は一昨日の金曜日に俺達が無理矢理お前をコートに連れていってしまったことによって、ファン達がお前になにかするかもしれないと考えたからだ。”
と。柳君は私が氷帝でいじめられていたことを知っているから余計に私のことを心配してくれているんだと思う。その文章の後に、
“なにか思い出して辛いと思うようなことがあれば言ってくれ。俺にできることはする。”
と書いてあった。柳君は優しいな。その優しさに甘えないように注意しなきゃ。
そうそう、月曜日に有栖にこの、柳君達が私に気を使って私に関わらないようにしてくれることを話すと有栖はなにか考えてから何度も頷いたり、首を横に振ったりしてた。それも意味がわからなかったんだよね。有栖って結構辛口で遠慮なくバシバシ言うんだけど、説明してほしい時に喋らなくなっちゃうんだ。
そう思っているうちに学校に着いた。あれ?有栖だ。起きれないって言ってたのに7時に来てるじゃん。
『有栖!!おはよー!!』
「えっ!?蘭華!?」
『なにそんな驚いてんの?それよりっ!!先週起きれないって言ってたのにどうゆうことよー?』
「ん?今日はたまたまだよ。、、、まったくこの子ったら今日に限って(ボソッ)」
『え、なに?』
「なんでもないよ」
『そう?じゃあ早く行こ』
「うん、そうだね」
私達は談笑しながら靴箱に向かった。校舎に入ると有栖は難しい顔をして足を止めた。
『有栖?どうしたの?』
「、、、蘭華。鞄に付いてたクマのぬいぐるみ無くなってない?落としたんじゃない?」
『え!?本当だ!!ちょっと正門のところまで探しにいってくる!!』
「もう、しっかりー!!、、、」
あれ?クマのぬいぐるみは昔から持ってて凄く汚れてたから鞄から外して家に置いてきたんじゃなかったっけ?それは先週の金曜のことだから有栖も知ってるはず。って、有栖が新しいの買えばって言ったんだけど。なのにどうして?あ、ボケたのか。もう、有栖ったらー。
私は後ろを向いて2、3歩走っている間ににそう思った。走るのを止めて校舎に体を向き直した。すると有栖がなにかを自分の鞄に閉まっているところだった。なんだろ?
『有栖?』
「早っ!!」
『早っ!!じゃないよ。クマのぬいぐるみは先週の金曜日に鞄から外したじゃん』
「あ、そうだったっけ?ごめんごめん」
『もー!!謝る気ないでしょー』
「そんなことないよ。あ、私先に行ってるね」
『え?なんで?ち、ちょっと!!』