青い炎
□11話
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side 柳
今俺達は跡部の別荘の前にいる。
丸井「うわー!!でっけー!!」
切原「丸井先輩!!後で探険しましょうよ」
丸井「おう!!」
真田「合宿に来て探険などたるんどる!!」
幸村「朝から煩いなあ」
切原「ひっ!!」
ジャ「さ、真田!!」
真田「あ、ああ。すまん、幸村」
幸村「さーてと。俺の遊び相手はどこかなー」
全「跡部(さん)、ご愁傷さま」
跡部「来たか、立海」
全「来た!!」
幸村「やあ、存在感のない跡部。久しぶり」
跡部「あーん?俺様が存在感がないだと?」
幸村「うん。しかも俺に知らせるのが1番最後って、いったいどういうことだろうね?」
跡部「だからそれはお前が電話に出ねーからだろ」
幸村「俺からの電話ならみんなワンコールで出るよ、うちの部員は」
跡部「あーん?」
跡部、それは精市からの電話にワンコールで出ないと恐ろしいことになるからだ。
幸村「なにか言ったかい、蓮二」
柳「い、いや、なにも」
忍足「自分らなにしてるん?はよ荷物置きに行きぃ」
真田「そうだ。お前達、早く行くぞ」
幸村「ふーん、真田のくせに俺に指図するんだ?」
真田「、、、」
柳「精市、その辺で止めておけ。先に進まない」
幸村「なんの先だよ?、、、まあ良いや。みんな行くよ」
全「イエッサー!!」
俺達は別荘の中に入っていった。
芥川「丸井くーん!!」
丸井「うお!!ジロー君じゃん」
芥川「丸井君、俺と試合してくれる?」
丸井「おう、良いぜ!!俺の天才的妙技、しっかり見て帰れよ」
芥川「うん!!嬉Cー!!」
丸井「ところでジロー君。お前ら着くの早くねえ?」
芥川「俺達はいつも1時間前に来てるよ」
丸井「、、、はあ!?」
芥川「跡部が俺様はいつも1番だって言ってねー。まあ、俺は寝てるから樺地にいつも寝てるままバスに乗せてもらってるんだけどねー」
丸井「良いのかよぃ、それで、、、」
あいつは芥川慈朗だな。1年の新人戦で丸井と試合をしてから、丸井に憧れているらしい。
それにしても青学が遅いな。あの手塚がいるのに、時間に遅れるなんてことがあるのか?
集合時間の10分後、青学のバスが合宿所に到着した。
手塚「遅れてすまない、跡部。集合時間に遅れてきた部員が2名ほどいてな」
跡部「まあ良いぜ。電話で言っていた時間よりは早いしな」
遅れる連絡があったのならみんなに知らせてくれ、跡部。恐らく今バスの中で必死に謝っている小さいやつと桃城武が集合時間に遅れてきたのだろう。
それにしても、この暗い空気はなんだ?手塚がバスから降りてから、氷帝メンバーの顔がこわばってみんな下を向いている。
青学のバスから他のメンバーが降りてきた。
、、、貞治。青学のナンバー3、乾貞治。データマン。そして、俺の幼馴染みだ。
乾「蓮二、久しぶりだな」
柳「久方ぶりだな、貞治」
乾「九条蘭華」
柳「!?」
乾「知っているか?」
柳「ああ」
乾「手塚は九条のもう1人の幼馴染みなんだ。もう1人は――」
柳「うちの真田弦一郎だろ?」
乾「聞いていたんだよな」
柳「ああ。手塚が幼馴染みだったのか。ということは手塚繋がりで、九条に俺がデータを集めていると言ったのはお前か」
乾「彼女と話したのはこの前の土曜日が初めてだけどね」
柳「そうか」
乾「手塚はな、1度氷帝に行ったんだ」
柳「ん?」
乾「それで止めさせるように言った。跡部達はその時初めていじめのことを知ったんだ。だが、それでもいじめは止まらなかった。跡部達がどんなに止めようとしても、、、」
柳「なるほど、だから氷帝と手塚の周りにあんな空気が漂っているのか」
乾「ああ。、、、」
柳「、、、」
乾「、、、じゃあな」
柳「ああ」
貞治と俺は小学生時代、ダブルスを組んでいた。俺達は当時のジュニアを牽引する存在だった。だが俺は転校が決まった時、それを貞治に言えないまま転校してしまった。俺はずっと次に会うことがあれば、、、いや、なにを言えば良いのか、未だにわからないでいた。謝るのか?そもそも貞治はさほど気にしなかったかもしれないのに?
データでは人の気持ちはわからない。でもデータがなければ俺はなにをどうすれば良いのかわからない。
貞治。お前は黙っていなくなった俺のことをどう思っていたんだ―――。
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