青い炎

□16話
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弦一郎、、、もう無理しなくて良いってば、、、。どうしてそんなに優しいの、、、?優しい弦一郎にまた怒鳴ってしまった。もうこれ以上嫌われたくないのに。私、、、最低だ。



保健室を出た私は教室から鞄を持って誰にもなにも言わずに学校から早退してきた。そして家にも帰らないでふらふらしてた。、、、だから今まさに、迷子です。困った。小学生の時にこっちに住んでいたからある程度は道をわかっていると思っていたのに小さい頃の記憶は曖昧だし、建物は変わってるし、、、。

はあ、、、どうしよう。携帯を見ると4時半すぎ。どんだけふらふらしてたんだよ、自分、、、。

はあ、、、少し悪いけどジャッカル君に電話してみようかな。


プルルルル――

“もしもし”

『あ、九条です』

“ああ。大丈夫か?”

『ごめんね、さっきは。今部活中?ってかさぼっちゃってごめん』

“いや、今日部活ねぇんだ”

『そうなの?』

“幸村が南と南の親戚の家に行くって。明日も大阪に行くから自主練だとよ”

『そうなんだー。でも良いの?もう来週だよ、県大会』

“県大会は通過点に過ぎないから張り詰める必要ないってさ”

『うわー、さすが王者立海だね』

“感心するとこなのか、わかんねーけどな”

『ま、そうだけど』

“それで、どうしたんだ?”

『あ、忘れてた』

“おいおい”

『えっとね、、、んーと、、、』


やばい、今になってものすごく自分が馬鹿なことを言おうとしていることに気付いた。遠征に行った先でもなんでもない場所で――。

“九条?(おーい、ジャッカルっ。九条なんの用だったんだよぃ?)”


いや、きっとジャッカル君なら笑わないで聞いてくれるはずっ!!


『あのね!!迷子にっ!!なってしまったん“迷子!?あははは!!まじかよぃ!!”、、、え?』


その声、、、丸井君!?


『ちょっ!!なんで丸井君?ってか笑いすぎ!!』

“おい、ブン太――。わりぃ九条、近くになんか目印になりそうなもんねえか?”


やっぱり困った時はジャッカル君だ、、、。丸井君め、次の部活の時に丸井君が持ってるお菓子全部食べてやる、、、。


“おーい、どうだ?”

『あ、ごめんね。えーと、なにもないんだよね。団地で家しかないの』

“学校からどっちに向かったか覚えてるか?”

『んー、あんまり意識してなかったけど家の方ではなかった』

“今までずっと歩いてたのか?”

『うん。けど同じ道を何度も通った気がするからそんなに遠くではない、はず、、、多分だけど』

“どっちだよ、、、でもこの辺の団地だったらわかるぜ、ブン太がっ!!”

『おー!!なんかいつもと逆!!』

“とりあえず代わるな”

『うん』


あ、さっきの――。

“よっ!!”

『丸井くーん。笑いは収まったのかな?』

“おう!!バッチリだぜぃ”

『私怒ってるんだけど?』

“悪かったって”

『丸井君のお菓子1週間分で許してあげる』

“え!?それはないだろぃ!!せめて今持ってるのだけで!!”

『ダメダメ。今持ってるのっていってもほとんど食べちゃってるでしょ』

“そんなことないぜぃ!!待ってろ、今持ってるのは――”

『待って、確認しなくて良いから!!丸井君、私のいる場所一緒に考えてくれない?』

“大丈夫、今向かってるよぃ”

『え?』

“どこでも良いから家の表札に書いてある名前いくつか読んでくれねぇ?”


『え、えっと、、、高橋さん、東間さん、中谷さん』

“よし、わかったぜぃ。あと15分くらいかかるからちょっとそこで待っててくんねぇか?”

『え?わかったの!?』


ピッ――


切れちゃった、、、。それにしても家の表札読んだだけでわかるなんて、意外に丸井君って凄い人なのかも。あ、意外って言っちゃ悪いか。でもいつもお菓子ばっかり、、、って関係ないか。そうだよね、いつも自分で天才的とか言ってるしね。、、、ん?


『丸井?』


少し進んだ所の家の表札に“丸井”の文字があった。、、、なんだ、ご近所さんだからわかったのね。そっか、だからジャッカル君は団地だったら丸井君がわかるって言ったんだ。なるほどなるほど――。
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