青い炎

□17話
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今日は土曜日、いつもは練習があるんだけど幸村君が有栖と大阪に行っているから自主練になった。でも昨日の夜柳君から“ほとんどのメンバーが練習に行く予定だからなにもなければ来てくれないか”ってメールが来たから今から学校に行く。

朝練と休日の練習は準備があるから私と有栖は練習が始まる30分前に来るようにしてる。今日はみんな何時にくるのかよくわからなかったからいつも通り8時半にテニスコートに入った。


『みんないないなー』

柳生「おや、九条さん。おはようございます」

『わっ!!柳生君、おはよう。早いんだね』

柳生「自主練の日まで九条さんにお仕事をさせてしまうのは悪いと思いましたので。それに南さんもいませんし」

『やっぱ紳士だね、柳生君って』


柳生君がネット張りを手伝ってくれる。普段から柳生君は早く部活に来てる。まあ、たいていの場合、幸村君、私と有栖、弦一郎、柳君か柳生君、ジャッカル、仁王君、ブン太、赤也君の順で来てるんだ。あ、幸村君が1番早いのはみんながいない時に私達マネージャーが1番先に来るとファンクラブの女子になにをされるかわからないからっていうのと、“俺が誰かの後だなんてあり得ないから”だそうだ。幸村君の笑顔は素敵だけどそう言う時の笑顔はものすごく威圧感がある。それに動じない有栖はさすがだと思う。だけどいつも赤也君が止めようとする理由はよくわかる。あれは確かに怖い。幸村君の後ろからだんだん黒いものが出てくるんだ。


柳生「これで準備は完了ですね」

『うん。柳生君ありがとう』

柳生「いえ、お気になさらずに。私がしたくてしたのですから」

『ふふ、ありがとう。それにしても、みんな来ないね』

柳生「そうですね。まあもう少ししたら来ますよ」

『そうだね。じゃあ私はドリンクの用意してくるから柳生君は練習始めちゃてて』

柳生「はい。ではよろしくお願いします」



私は部室に戻ってドリンク作りを始めた。休日の練習には嬉しいことに誰も滅多に見に来ない。それは学校の規則で部活動を行う生徒以外の者の休日登校は認めないとされているからだ。今の私達にとっては非常にありがたい規則だと思う。


柳「柳生と九条が8時半にくる確率94.6パーセントだった」

『あ、柳君おはよう。その通りだよ。柳生君はもう少し前に来てたけどね』

柳「すまない、俺も早く来るべきだったな」

『良いよ良いよ。自主練なんだからさ』

柳「すまないな。、、、今日は弦一郎が来ないんだ」

『弦一郎が?珍しいね』

柳「そうだな」

『もしかして、もしかしなくても、、、私のせい?』

柳「まあ、気にするな」

『ごめん』

柳「謝る必要はないぞ。お前が話せるようになった時に弦一郎に話してやれ」

『うん。ありがとう。、、、みんなも聞いてくれるかな?』

柳「っ!?話してくれるのか?」

『うん。昨日ジャッカルが言ってくれたんだ。みんなは私のことを知りたいって思ってくれてるって、だから私のことを守るって決めてくれたって』

柳「、、、ほう」

『私ね、ジャッカルの言葉を信じてみようって思ったんだ。柳君もそう思ってくれてる?』

柳「ああ。俺は調べてもいたし跡部と手塚にも話を聞いた。だがお前からは弦一郎のことを聞かせてもらっただけだ。もっとちゃんとお前が感じていることを聞かせてほしいと思っている」

『ありがとう。なんでだろ。本当だって思える。少し前の私だったら今の柳君の言葉も偽りだって思っちゃってたかもしれない。』

柳「、、、ジャッカルか、、、」

『ジャッカルがどうかしたの?』

柳「いや、ジャッカルがきっかけになるとは思わなかったものでな」

『ふふ、どういう意味よ?んー。ジャッカルの目がね、真剣で偽りがないって思ったの。理由はえっと、なんていうか――』

柳「人を信じるのに理由なんて必要ない」

『うん。そうだと思った。けどやっぱり怖いってのもあって、、、』

柳「ゆっくりで良いんだ」

『うん。ありがとう』

柳「さっきの話だけどな、ジャッカルではなくて精市だと思ったんだ」

『幸村君?』

柳「俺のデータによると、マネージャー初日に精市と帰った次の日のお前がすっきりした顔をしている気がした。さらに昨日南のことで動揺していたお前が精市に抱きしめられてから顔つきが変わった」

『うわっ、、、恥ずかしいんですけど。、、、なんだかわからないけど幸村君って安心するんだ。幸村君には話せたの。でもその時だけで幸村君に甘えるのは止めようって思ったの。気が動転してて忘れてたけど昨日も幸村に甘えちゃったよ。困ったね、私ったら。そういえば、今日有栖と大阪に行ってるんだよね。幸村君、有栖は大切な存在だって言ってたからよっぽど心配なんだろうね。仁王君とは違う意味でって言ってたけど本当はどうなんだろ。有栖のこと――ってなに言ってるんだろ!?ごめん、柳君。私ドリンク作りの途中だったの!!』

柳「、、、ああ。俺は練習を始めるとするか」

『うん、頑張ってね』


どうして!?どうしたんだ私。幸村君が有栖のこと恋愛感情で好きでも別に関係ないじゃん。あ、そっか。そしたら仁王君と有栖と三角関係になっちゃうって思ったんだ。うん、きっとそう。


ってか柳君のこと無理やり追い出しちゃった。ごめん、柳君。
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