青い炎

□23話
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あ、幸村君のクラス、次の時間体育なんだ。部活のジャージ姿じゃなくてもか――



ガシャーン―――



南「なに!?なにが起こったの!?」

『あ、ごめん有栖』

南「いや、良いけどどうかした?」

『ど、どうかしてないよ!!』

南「え?、、、まあそれなら良いけど」

『うん、うん』

南「そういえば昨日真田の家の道場行ったんだよね?どうだったの?」

『あ、うん。久しぶりに会ったけど、師匠全然変わってなかったんだー。いろいろ話したよ』

南「、、、竹刀は?」

『、、、』

南「そっか」




―――――



『――ということがあったんです。師匠にはご心配をおかけして申し訳ありませんでした』

師「そうか。よく頑張ったな」

『はい。、、、またこうして師匠に会うことができて嬉しいです』

師「わしもだ」

『ふふ、あいかわらず師匠も弦一郎と同じで喋らない人ですね』

真田「お祖父様にそんなことを言えるのもあいかわらずお前だけだぞ、蘭華」

『なんでだろうね?師匠も愛らしいところあるのに、、、』

真田「、、、うむ」

師「蘭華」

『はい』

師「もう剣道はやりたくないか?」

『あ、いえ、申し訳ありません。大事なことを言い忘れていました。この先なにがあっても剣道を辞めるつもりはありません。私は剣道が好きですから』

師「そうか」

真田「竹刀は、、、怖くないか?」

『わからない、、、。屋上で竹刀を握ったあと、家で持ってみようとしたけどやっぱり駄目だった』

師「ここで試してみるか?」

『え?』

師「怖れるのは悪いことではない。だがそう言って避けていてはいつまでもその先には進めない」

『はい、師匠』




弦一郎が自分の竹刀を持ってきてくれて私の前に置いた。2人が見つめる中、大丈夫だと自分に言い聞かせて手を伸ばした。




―――――



南「それで?」

『手が竹刀に触れる直前にフラッシュバックが起きてそのまま気絶しちゃったんだ』

南「そっかー、、、でも頑張ったね」

『けどまた怖くなっちゃった。竹刀に触ろうとするとまた思い出しちゃうって、、、』

南「これからだよ。1つ前に進めたんだからそれを自分で褒めてあげなきゃ」

『あとは、国光のこと、氷帝のみんなのこと、そして剣道のこと――』



弦一郎が私のことを嫌っていなくても国光達がどう思ってるかはわからない。弦一郎がそうだからみんなも、なんて楽観的に考えられない。みんな無理してたんだって考えないといじめを受ける前の私と変わらない。私がいつも楽しんでいた傍らで無理をさせていたのかもしれないんだから。



南「まあさ、そんな焦らないで蘭華のペースで良いじゃん。私はずっと蘭華のそばにいるからさ」

『有栖、、、ありがとう』




キンコンカンコーン――――



南「あ、次の授業始まるね」

『うん』




今の状況に幸せを感じてるこの頃の私。だけどそれはまだいろいろなことから逃げているから成り立っている幸せなんだよね。立海のみんなの優しさに守られての幸せ、、、。けどもう甘えちゃダメだとは思ってない。みんなは本当に私のことを思っていてくれてるってわかってるから。


だから前に幸村君が私に言ってくれた、ずっとそばにいるって言葉、、、今なら気を使って言ってくれたんじゃないってわかる。


そういえばなんでかな?あの時の私は誰にも自分に関わってほしくない、人が信じられないって思ってたのに、あの時幸村君に話せた。暖かかったんだよね。不思議とこの人なら大丈夫って気がしたんだ。幸村君は私の恩人。、、、恩人だからキュンってなる、、、ドキドキする、、、のかな?



ってかさっき私幸村君見てかっこいいって思っただけなのになんで動揺したんだろ?テニス部のみんなはかっこいいっていつも思ってるのに。第一、今普通に思ってるし、、、よくわからない。


あ、さっき筆箱落とした時にシャーペンの、なんて言うのかわかんないけど、ポケットに引っかけたりする時に使うところが割れちゃった。別に良いけど、かけてるから手に当たると痛いな。誰かに貸さないように気を付けなきゃ怪我させちゃうな。





キンコンカンコーン―――


はー、やっと終わった!!授業はわかるから良いんだけど斜め後ろの席の有栖からずっと視線を感じてて集中できなかったんだよね。


柳「九条」

『あ、なに?柳君』

柳「最後に終わらなかった者は宿題だと言われていた問題解けているか?」

『あ、うん。答え合わせしよっか』

柳「ああ」




南「――ってことだから」

幸村「わかった」




『2人とも答え同じだからたぶん合ってるね』

柳「そうだな。ありがとう」

『こちらこそ』

幸村「九条さん」

『あ、幸村君。体育お疲れさま。あれ?いつもより終わるの遅かった?』

幸村「そうでもないよ。それよりこれ」

『ん?テープ?ってかかわいいい!!なにっ?幸村君の!?』

幸村「違うよ、妹の」



幸村君が持っていたのはウサギのキャラクターが描かれたかわいいテープ。


『あれ、幸村君、妹いるの?』

幸村「うん」

『へー!!』

南「いつもだけど話それてる、、、」




似てるのかな?さぞや最高に美少女なんだろうな。


幸村「今度会わせてあげるよ。それよりこれ、使って?」

『本当に?楽しみー!!、、、って、なにに使うの?』

幸村「シャーペンに。九条さんが怪我したら危ないからね」

『シャーペン?、、、ああ!!これのこと?』

幸村「うん」

『え?よく知ってたね』

幸村「まあね」

『まあねって、、、。まあ、そのままにしてると危ないからね。ありがとう。使わせてもらうね』

柳「さすが幼馴染みだな」

『柳君、なに?』

南「あー!!なんでもないよ!!」

『なんで有栖が答えるのよ?』

幸村「まあ深い意味はないよ」

『だからなんで別の人が答えてるのよ、、、。まあ良いや』

南「あれ、どっか行くの?」

『予定はないけど私お邪魔でしょ?』

幸村・南「ッ!?」

『いや、そういうんじゃなくて。ほら、最近3人で話してること多いからさ』

南「え、それはっ――」

『大丈夫。気にしてないから。そうだ、弦一郎に用事があったんだ。ちょっと行ってくるね』

南「あ、うん」



なんの話してるんだろ?ま、3人で話したいこともあるんだろうな。幸村君に貰ったテープ、あとでシャーペンにぐるぐる巻きにすれば良いかな。それにしてもウサギのテープって、、、似合う、、、。幸村君が女装したら絶対かわいいだろうなー。やってくれないかな?、、、やってくれなさそうだな。弦一郎、国光、宍戸、忍足がお兄ちゃんって感じだから、幸村君はお姉ちゃんって感じかな。
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