青い炎

□2話
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side柳


「キャー柳君よー!!」
「かっこいー!!」
「柳君ー!!」


今日もあいかわらず俺達テニス部のファンの女子達が騒いでいる。まったく、これでは授業が終わってすぐに移動を始めても意味がない。
今は昼休みで俺は屋上に向かっている。いつも屋上で仲間達と昼食を食べているのだがゆっくり支度をしているとすぐに彼女たちに道を塞がれてたどり着くのに時間がかかってしまうからいつも4限の授業が終わると何より先に支度をして全速力で歩いて屋上に向かわなければならない。何故歩くのかって?廊下を走るわけには行かないだろう。何度言っても走るのを止めない奴らもいるが。何故そうまでして屋上で食べるのかって?我らが部長の命令だからだ。

「教室じゃ女子達が煩くてゆっくり食べてられないじゃないか。屋上の鍵を先生に脅――頼んで貰ったから昼は屋上集合だ。勿論チャイムが鳴り次第すぐにだよ。俺を待たせるなんてしないよね」

――とな。
あれは俺達が全国で2連覇をして3年が引退した後、一気に過激さが増したファンに嫌気がさした部長、幸村精市がレギュラーに言った絶対命令だ。
それ以前もファンクラブは存在していたのだが以前はファンクラブの会長が常識のある人だったためにそこまで過激にはならなかったそうだ。だが彼女が会長を降りた時に一悶着あったらしく、結局ファンは統制されず野放し状態になった。よって練習中はコートのフェンスの周りに毎日大勢の女子でごった返し、教室でも廊下でも黄色い歓声に悩まされる羽目になった。
ファンクラブの内情など知ったことではないが本当にやめてほしいものだ。



ギギッ――

幸村「遅いよ蓮二」

柳「すまない、精市」

切原「ぶ、部長っ!!」

柳生「そ、それにしても柳君が1番最後なんて珍しいですね」

柳「あ、ああ。(説明に集中しすぎて歩くペースがいつもより遅かった確率95.2%)」

幸村「ふふっ。放課後が楽しみだよ。」

ジャ「ゆ、幸村、、、」

幸村「さ、早く食べようか」

真田「うむ。」



丸井「そういえば今日柳のクラスに転入生が来たんだろぃ」

仁王「凄く変わってると聞いたんじゃが」

柳「そうだ。彼女は九条蘭華――」

真田「!?」

柳「どうした、弦一郎」

真田「いや、なんでもない」

幸村「真田のことはいいから」

柳「(、、、哀れなり弦一郎)身長165p、体重―うっ《言うわけないよね》コホンコホンっ。―和風美人、天然、怒ると人が変わる」

真田「、、、」

切原「和風美人って、柳先輩みたいな感じですか?」

丸井「いや、俺が見たところ、大和撫子って感じじゃないから柳を女にしてもあんなにはならないと思うぜぃ」

ジャ「なに言ってんだ、お前」

切原「ってか丸井先輩見たんですか?」

丸井「おう!!仁王と3限が始まる前に見に行ったんだぜぃ」

仁王「ぷりっ」

柳「、、、丸井ちょっと良いか?今後一切俺を女にするなど考えるな。」

丸井「わ、悪かったよぃ」

幸村「興味あるなー。蓮二、放課後九条さんを部室に連れてきてよ」

柳「ああ、わかった」



そのあと朝の自己紹介のことをみんなに話して昼休みは終わった。弦一郎が何やら考えていたようだが一体どうしたというのだろうか。



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