青い炎

□7話
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中学に入っても俺達はよく買い物に出掛けていた。ほとんどが彼女の物を買いに行っていたのだが俺は彼女と過ごせることが嬉しかった。その姿を青学のテニス部の仲間が目撃していたらしく、部活の後に彼女は誰かと聞いてきた。俺は別に隠す必要もなかったため、彼女のことを話した。それからよく仲間達が彼女のことを聞いてくるので答えていた。

2年の5月のこと。剣道の大会前に蘭華が大怪我をしたという話を聞いた。俺はいてもたってもいられなくなって部活を休んで病院に行った。その日、彼女は目を覚まさず、俺は心配で気が狂いそうだった。結局彼女が目を覚ましたのはそれから3日後。目を覚ました彼女はなにもか変わらず、笑っていた。


そして蘭華は4ヶ月間リハビリ施設に入院した。俺は部活があってなかなかお見舞いに行けないことが多くなっていた。夏休みの間に大会が終わり、3年生が引退すると俺は部長を任せられたため、それまで以上に忙しく過ごしていた。


10月になり、蘭華は学校に復学した。それで一安心した俺は改めて部活に集中した。彼女との買い物も再開して、なにもかもが元に戻ったと思った。だがそれから2ヶ月後、彼女の母親が俺に最近蘭華の帰りが遅いと相談してきた。部活の見学をしているか、彼女のことだからどこかで竹刀を振っているのだろうと思い、そう答えた。けれどその後、彼女が俺の家に遊びに来ていた時のこと、ふとした瞬間に彼女の表情が強張った。どうしたのかと聞いてもなんでもないと笑って答えた。だが俺にはそれがなにか不自然に見えて、翌日の部活が終った後に乾に相談してみた。数日後、乾が調べてくれた話を聞いた時のことは衝撃が強すぎて、はっきりと覚えている。



―――


乾『手塚』

手塚『どうした?練習メニューのことなら――』

乾『九条さんのことなんだ』

手塚『!?』

乾『今で良いか?』

手塚『ああ。でもみんながいるところでは、、、場所を移動しよう』



手塚『それで?』

乾『まず、彼女は5月に大怪我をしただろう?』

手塚『ああ。大会の決勝に出る前の控え室でロッカーが倒れてくる事故にあったんだ』

乾『事故じゃないという噂があるらしい』

手塚『なに?』

乾『彼女を良く思っていない剣道関係の人間が故意にロッカーを倒したという噂があるんだ』

手塚『、、、』

乾『以前から彼女に勝てないことを根に持って彼女に嫌味を言う人が多くいたのは事実らしい。特にそれが激しかったという2人が揃って1番に駆けつけて、協会の人間と救急車を呼んだんだ。おかしいと思わないか?』

手塚『、、、確かに。』

乾『そして俺が氷帝の前で通る人達の話を聞いていると何度も同じキーワードが出てくるんだ。“剣道”“テニス部”“左腕”』

手塚『それは、、、』

乾『九条さんのことを言っていると思えないか?』

手塚『、、、それで?』

乾『さらに注意して聞いていると、、、』

手塚『聞いていると?』

乾『いじめを示唆している』

手塚『い、じめ、、、?』

乾『剣道関係の人間は彼女に劣等感を抱き、テニス部のファンは彼女がテニス部と仲の良いことを妬み、暴力等のいじめをしていると。俺達がリハビリ中であるはずだと思っている左腕は、踏みつけられて今はすで折れている、と。、、、大丈夫か?』

手塚『あ、ああ。ありがとう。』


一刻も早く彼女に会って確かめなければ、とすぐに彼女に電話をかけた。電話は留守番になってしまい、伝言とメールで今から会えないかと伝えた。

メールで返事が来たのは夜の11時。

“今からは無理だから明日で良い?急用なら電話で聞くよ”

電話では上手く誤魔化されるかもしれないと思って明日にしようと返事を送った。
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