*wild fancy
□Please tell me ×××
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あのね、愛を知りたいの。ちょっと教えてくれないかしら。
どうやら恋とはまた違ったものなのでしょう?私知りたいわ。
…今まで沢山の人達と交わる度に、愛してるって言われてきた。それに対して「私もよ。」なんて軽々しく答えてきた。だけれど、愛が何なのかなんて知らなかったし、そもそも彼らに特別な感情なんて持ってなかったの。
でも、それじゃ駄目なんだって思って。
あやふやで、概念でしかない其は、実はとても重要な意味を持っている気がして。
これは私にとって人生で最も難解で終わりの見えない問題だわ。
…もう。これは学校の教科書で学ぶ内容とは性質が違うのよ。分かるでしょ?愛について知ってることと、学校での成績の良し悪しとは関係してないの!
私だって何でも知っていれば貴方の所になんて来ないわ!
まったくもう!話がズレ始めてしまったじゃない!
ああ、別に謝らなくて良いから、取り敢えず聞いて頂戴。
あのね、愛を教えて。
…初めにちゃんとお願いしたけれど念のため。話の起点の辺りの事、貴方もう忘れてたでしょ?
え?何で忘れてるって分かったのか?その位分かるわよ。
…だって私は、貴 方 に 夢 中 な ん で す も の 。
あら。これでも一応告白よ、告白。もっとなにか反応があってしかるべきな状況じゃないの。
でも重要なのはそこじゃなくて。
--------放課後の教室。1つの机に向かい合って座る、博識な彼女と、ただの僕。そして彼女は立ち上がって。机に手をつき、僕の方へ前のめる。
セーラー服の赤いスカーフが揺れる。
彼女の黒髪が夕日に照らされて、とても艶やかに光る、光る。
無表情を貫いていた彼女は急に微笑み、それと同時に言葉を紡ぐ。
決して大きくはない、けれども聞き取れる限界の音量で
私はね、と。
「君の思う愛を、君から教えて欲しいの。」
優雅な動きで僕の唇は彼女に奪われる。触れるだけのキス。
そしてまた離されて奪われる。
何回か繰り返した後、自分で止めたくせに、もの足りたそうな表情で唇を指でなぞってきた。
さて、君は私をどうする?少年。
甘く見ないで欲しい。
僕は迷わず、彼女の躰を引き寄せた。
愛なんて××××だけじゃ伝わらない、とは思うけど。
fin