*wild fancy
□期待して待機。
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携帯に手を伸ばした。
待ち受け画面に表示されるのは10:15とアンテナマークだけだ。
着信も受信メールもない。
別に期待してないと言えば嘘になるけど、私もいい加減夢から覚めてきた訳で。
いくら待ってても、君からのメールなんて来やしない。分かってる。
付き合ってから、もうすぐ1年が経つ彼。楽しいことが大好きな彼。いつだって人の輪の中心辺りにいる彼。
そんな彼は、きっと今頃チャットにTwitterに部活の話に忙しい時間だから、私のことは、頭の片隅に追いやられてるんじゃないかしら。
…追いやられてるくらいなら良いけど、忘れられてたらどうしよう。
新規作成メール
下書きに保存しますか?
はい。
送る予定のないメールを作り、携帯を閉じる。
今や下書きフォルダには私の負の気持ちがいっぱい溜まっている。
携帯ですることもなくなり、待ち受け画面に戻る。
時は11:05。
今日も君からのメールは来ない。
下書きがいっぱいになりました。消去しますか?
いいえ。
「構ってください」
「流石に嫉妬しますよ」
「いつも女の子と一緒にいるとこ見せられて」
「何も感じてないとでも思ったの?」
「辛いときこそ、頼りたいのに。」
「頼ろうとしたとき、君はもうこっちを見ていない。」
ほっとくなら、ずっとほっといて。ずっと構わないで。
でもほんとは、いつだって構っててほしい。私だけを見ててほしい。
そんな私のエゴイズム。