いろいろお題倉庫

□箇所と感情20のキス
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1.鼻先に挨拶のキス


鼻先に、何か柔らかいものが押し当てられる感触がする。
けれど眠気の方が勝るものだから瞼が持ち上がらない。
夢の世界へ船を漕ぎ出していても尚も鼻先に柔らかいものは押し付けられ、睡眠を妨げようとする。
ユフィがまた悪戯をしているのだろうと思い、無視して本格的に眠ろうとした時だった。

かぷっ

「っ!?」

鼻先を噛まれ、一気に目が覚めた。
そして眼前の不満そうな漆黒の瞳と視線がぶつかる。

「・・・噛む事はないだろう?」
「だったらこのおはようのキスで起きろよ」
「鼻にやられても分からん」
「分かれよぅ」

そう言ってユフィはまた鼻先を甘噛みしてきた。








2.足の裏にくすぐりのキス


想いを重ね合わせた翌日の朝はいつもヴィンセントの方が先に起きる。
起きてベッドでコーヒーを飲みながら昨日の余韻に浸るのだが、今日は違った。
出来立てのコーヒーを淹れたマグカップを持って部屋に入ると、シーツから足を出して眠るユフィが眼に入った。
きっと寝返りを打ったのだろう。
足を冷やして風邪を引いてしまうかもしれないと思って直してやろうと思ったが、ふとした悪戯心が己の思考をじわりと支配する。

「・・・」

コーヒーをサイドボードの上に起き、ユフィの足元へ。
足を掴んで持ち上げれば「んん・・・」というやや嫌そうな呻き声がユフィから漏れた。
けれどそんな事には構わず小さな足の裏に口付けを数回落とすと、それはたちまちくすぐったそうな声に変わった。

「ん・・・ふふ・・・くすぐったいよ、ヴィンセント・・・」

くすぐったさにユフィは足をくねらせるが、離してやらない。
尚もキスの雨を降らせてくすぐらせる。

「くふふ・・・やだってば・・・」

微睡みを含んだ声でユフィは小さく笑う。
その際に、足を持ち上げたが為にシーツがずり落ちて曝け出された足の付け根を再びシーツで隠すのが視界の端に見えた。
ユフィの足の裏に注がれていたキスは一変して足首からふくらはぎへ、ふくらはぎから足の裏、太腿へと滑って行き、瞬く間に足の付け根をへと到達した。

「な、なにっ?」

半分寝ぼけてる声にニヤリと笑って覆い被さる。

「・・・朝の運動、だ」

言い終わるのと同時にバサリとシーツを捲った。








3.腕に応援のキス


「ヴィンセント、これから任務?」
「ああ。ベヒーモス狩りだ」
「うへぇ、しんどいね。そんなヴィンセントの為にアタシがおまじないしてあげるよ」

そう言ってユフィはヴィンセントが銃を持つ利き腕に短く口付けをした。

「えっへへへ!頑張れよ、ヴィンセント!」
「・・・ああ」

その日の任務はこれと言った損害を出す事なく驚くほどスムーズに終わったという。








4.首にじゃれ合いのキス


「ヴィン・セン・ト!」

ソファで本を読んでいると、後ろから腕を回されて首筋にキスをされた。

「何だ?」
「暇」
「そうか」
「構えよぅ」

唇を尖らせてユフィは前に回りこんだ。
そしてヴィンセントと向かい合うようにして膝の上に座った。

「ね?何か面白い事しようよ?」

首に腕を回してユフィは体を摺り寄せてくる。
胸板に擦り付けられる柔らかいものに胸の内の火が燻り始める。

「―――誘ってるのか?」
「どうかなー?」

クスクスと笑ってユフィは先程とは反対の首筋に何度も口付けする。

「・・・」

パタン、と本が閉じる音がしてテーブルに投げ出される。
間を置かずしてユフィはソファの上に押し倒され、逆に首に何度もキスをされた。
そのついでに強く吸われて真っ赤な華を咲かされる。

「やったな〜?」

ユフィは悪戯っ子のように口元を歪めるとヴィンセントの首に吸い付き、同じく真っ赤な華を咲かせた。

「へっへ〜!どーだ!」
「ならば、三倍にして返さないとな」
「その更に三倍で返してやるよ!」

じゃれ合いが本気になるのは後もう少し。








5.頬に子供扱いのキス


なんやかんやあって任務で助けられたヴィンセント。

「ん!ヴィンセント」

眼を瞑って顔を突き出すユフィの意図を図りかねてヴィンセントは首を傾げる。

「何だ?」
「『ありがとう』のキスだよ!」
「何だ?それは」
「この間見た映画でやってていいな〜って思って」

そういえばこの間ユフィと見た映画でそんなシーンがあったなとヴィンセントは思い返す。
影響されてすぐに実行する辺りがユフィらしい。
マントの下で苦笑してユフィの顎に手をかけ、柔らかな唇に自分のそれを重ねる―――と、見せかけて朱色に染まってる頬に唇を押し当てた。

「・・・・・・ん?」

予想通り、ユフィは想定外の箇所のキスに目をパチパチと瞬かせて状況を把握しようとする。

「・・・ヴィンセント、今ほっぺにした?」
「子供には頬へのキスだけで十分だ」
「何だよそれ!子供扱いすんなよ!!」
「映画に影響されて強請るなどまだまだ子供だ」
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