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□縁側と猫
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ウータイのユフィの家。
本日はユフィの帰省に付き合ってやって来た。
気候は穏やかで気持ちの良い風が吹いて心地が良い。
それに加えて緩やかな静けさがあり、ヴィンセントは縁側で壁に寄りかかってボーッと庭を眺めていた。
そこに、近所で飼われてる猫が近づいてくる。

「なーお」

挨拶するように鳴くと、猫はまるで当然だと言わんばかりにヴィンセントの膝の上に乗って寛ぎ始めた。
ヴィンセントはそれを拒みもせずに、むしろ受け入れて優しく背中を撫でる。
すると、段々猫は眠くなってきて欠伸をし、ウトウトと寝始めるのだった。

「アンタと猫の親和性って高いよね」

ユフィが縁側に来てヴィンセントの隣に腰を下ろす。
そして寝ている猫の頭を軽く撫でながら付け加えるように言った。

「それから縁側もね」
「そうか?」
「うん。あとお茶とかも合いそう」
「それはもはや老人のそれてばないか?」
「あ、バレた?」

ユフィはクスクスと笑い、ヴィンセントもつられて小さく笑う。

「それにしても、眠いねー・・・」

ユフィがヴィンセントの肩の上に頭を乗せる。
ヴィンセントも同じようにしてユフィの頭に自分の頭を軽く乗せて寄りかかった。

「おやすみー、ヴィンセント」
「お休み、ユフィ」

二人は涼しい風に包まれながら静かに目を閉じた。










「ユフィちゃーん、いるー?」

近所のおばさんが庭に入ってきてユフィを訪ねてきた。
ウータイでは近所の人が庭から訪ねてくることはあまり珍しくない。

「もしかしたらまたウチの猫が―――あら?」

猫の飼い主のおばさんが猫を探してやってきたが、寄り添って昼寝をする二人を見て「あらあら」と微笑を浮かべる。

「ユフィちゃんったらあんなに幸せそうに寝ちゃって。邪魔しちゃ悪いわね」

本当はヴィンセントの膝の上で寝ている猫を連れて帰ろうと思っていたのだが、そんな事をすれば二人を起こしてしまう。
だったらまた後で迎えに行けばいいというもの。

「フフ、ゴドーさんにも報告しなくちゃね」

この時間は茶屋にいるであろうゴドーに二人の事を話す為におばさんは茶屋に向かうのであった。









END

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