書斎U
□奇襲
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買い出しから戻ってみると、リビングがいつも以上に静かだった。
「ヴィンセント?」
いつも静かに読書や報告書を片付けているヴィンセントの姿が見当たらず、ユフィは軽くリビングを見回す。
すると、テーブルの上に纏められた報告書が目に入り、報告書との戦いは終わったのだと知る。
けれどその戦士の姿がなく、尚且つ靴があるのを見ると・・・
「部屋かな?」
そう呟くやいなや、ユフィの足は早速部屋へと歩き始めた。
予想的中。
思った通りヴィンセントは部屋にいた。
いたはいたのだが、ベッドの上で静かに眠っている。
恐らく疲れたので昼寝という事にしたのだろう。
ここ最近、ディープグランド事件の事後処理やその他任務におわれていたので疲れていて当然だろう。
「!そうだ」
ある事を思いついたユフィは悪戯な笑みを浮かべてヴィンセントが眠るベッドに近づいた。
起さないようにそっとベッドに乗り、ヴィンセントの腰を挟むように足を置く。
そのまま緩やかに倒れこむように上体を伏せると、ヴィンセントの顔を手で包んでくちづけをした。
長くはくちづけず、すぐに唇を離す。
「へへ、奇襲大成功〜♪」
小さな声で喜びの声を上げ、次の行動に移る。
そっとヴィンセントの髪の房を引き抜いて三つ編みをする。
太く編んだり細く編んだりと合計で四本も編んだ。
「起きた時の反応が楽しみだね、こりゃ」
ポケットから携帯を取り出して撮影モードにする。四本の三つ編みをしたヴィンセントを画面に収め、決定ボタンを押す。
軽快なシャッター音が鳴ると同時に画面に写し出される画像は目を開けたヴィンセント。
そう、目を閉じているのではなく目を開けたヴィンセント、だ。
「・・・あり?」
「満足したか?」
笑っていない笑顔を浮かべながら片手でユフィの携帯を閉じてサイドテーブルに置く。
次にユフィの手首を掴んで引き寄せ、立場を逆転させてユフィの唇に噛み付くようにキスをした。
「んんっん〜!」
暴れようとする体を自分の体で押さえつけ、ユフィの口腔を蹂躙する。
その間に空いてる方の手で三つ編みを解く。
しばらくして三つ編みは全て解け、そこでヴィンセントは漸くユフィを解放した。
短時間とはいえ、割りと激しい蹂躙だったのでユフィの呼吸は乱れている。
「はぁっ・・・はぁっ・・・!」
「全く・・・」
「ちょっと遊んだだけじゃん・・・」
「遊んで撮影してその後はどうするつもりだったんだ?」
「ティファたちに配信」
「危なかったな、ユフィ。もしも配信していたらお前のマテリアは星に還る所だったぞ」
「ほ、本当に危なかった・・・」
一度本気でライフストリームにマテリアを捨てられそうになった事があり、ユフィは一瞬焦った。
激しいキスという甘い罰だけで本当に良かったとも思ったとか。
「そういえば今何時だ?」
「んーっとね・・・18時」
「今日はどうする?外食にするか?」
「メンドーだから外食にしよっか」
ユフィを起き上がらせてブラシで髪を梳き、ヴィンセントはユフィと共に玄関へと歩き出した。
「ねぇ、ヴィンセント」
「何だ?」
「次はツインテールしていい?」
「・・・自分の髪でやれ」
「伸ばすのめんどくさいからやだ」
「はぁ・・・」
その後しばらく、髪談義は続いたとか。
END
→後書き