萌えcanの
□ミッドナイト
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大勢の人々で賑わい煌めく都市の中心街、ネオンの光が妖しく照らす路地裏。
大都市―ミッドガル―
様々な欲望が渦巻くこの都市は今日も光を絶やさない。
そう、妖しい光を―――。
「天然のマテリアを10個持ってきたら1000万、50個持ってきたら5000万、
100個以上持ってきたら好きなだけあ・げ・る♡」
惑わすように囁き、小悪魔のように微笑むとユフィは手を叩いてSPの男たちにギル札をバラ撒かせた。
大量の札束が宙を舞う中、ユフィは高らかに言い放つ。
「さぁ行きな!このアタシから金(あい)を勝ち取りたければマテリアを持ってくるんだよ!」
集まっていたハンターたちは皆それぞれに不敵な笑みを浮かべると獲物を手に部屋から飛び出していった。
様々な思惑をその胸に、その手に掴む為に―――。
そんなハンターたちの様子を愉快に思いながらユフィは金色に輝くシャンパンタワーのグラスを一つ手に取って傾けた。
ガラス窓の向こうに目を向ければ眠る事を知らない街がユフィの瞳に映る。
普通の人間が見れば美しいと思うだろうが、ユフィには恐ろしいものに思えた。
光の数だけ陰謀が渦巻き、光の数だけ欲望が存在し、光の数だけ影が生まれて人を脅かす。
でも。恐ろしいと思っていても嫌いではなかった。
「この危険な感じが堪らないんだよね」
「何がだ?」
ガラス窓に一人の男が映る。
それを視界に捉えるなりユフィは妖しげな笑みを湛えながら体を摺り寄せた。
「遅いじゃん。何してたんだよ?」
「野暮用を片付けていただけだ。それより、何が堪らないんだ?」
「んー、例えるなら・・・ひ・あ・そ・び」
つぅ、とユフィの細く白い指が男―――ヴィンセントの胸の上を滑る。
ヴィンセントの背中をゾクゾクとしたものが駆け上がり、彼に火を灯す。
「火傷しても知らないからな」
「むしろさせてよ、火傷。取り返しがつかない程にさ」
残酷なまでに甘く官能的な挑発はヴィンセントを乗せるには十分だった。
黒い革の手袋をはめた指が小さな顎を捉え、上向かせる。
「爛れるだけでは済まさないからな」
「何やってんだ、お前ら」
「はぁ・・・空気読めよなー、クラウド。折角いい所だったのに」
「台無しだな・・・」
「これ以上は鍵つけなきゃいけなくなるんだよ」
「だからってないわー。あ、さっきのハンター役のエキストラの人たち、クラウドのファンみたいだからサインあげといて」
「何で俺が・・・って列出来とる!?」
「クラウドさんだ!」
「クラウドさんサインお願いします!!」
「俺も!」
「私も!」
END