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□友情と恋の違い
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「へっへ〜ん、らくちんらくちん」
「・・・落ちても知らんぞ」
「判ってるって」

ユフィと二人乗りしたヴィンセントだったが、前に座っているユフィがヴィンセントの胸にもたれかかってきた。
ただでさえ密着しているというのに、こんな事をされては理性的にも色々厳しいものがある。
どこまで平静を装えるやら。

「デュースと何話してたの?」

徐にユフィがそんな質問をしてきた。
それに対してヴィンセントは至って普通に答える。

「大した事は話していない。ただの雑談だ」
「でも笑ってるの見えたけど?」
「他愛のない話しだ」
「ふ〜ん」

興味なさげに相槌を打つユフィだが、内心ではとても気になっていた。
ヴィンセントは知らないし、ユフィが表面に出していないので気づいていないが、少なからずユフィはヤキモチを妬いる。
こうしてヴィンセントの胸によりかかっているのも、独占欲と優越感を満たしたいが為の行為なのだ。

(まぁデュースはエースの彼女だから大丈夫だけどさぁ・・・でも何か妬いちゃうなぁ)

デュースと笑ってた時のヴィンセントはなんだか大人っぽくて今までに見た事のない笑顔だった。
それが羨ましくて悔しくて、ユフィは腹いせにちょっかいを出した。

「ていっ」

むにっ

「・・・二の腕を摘むな」
「くすぐったい?」
「言う程ではない」
「ちぇっ、つまんないの」
「だからって髪を弄るな」
「枝毛見つけてあげようかなって」
「楽しいか?」
「地味に」
「お前が楽しいならそれでいいが・・・落ちるなよ」

やれやれといった様子でヴィンセントは息を吐くも、ユフィが落ちないようにと細心の注意を払う。
願わくば早打ちしている心臓の音がユフィに聞こえない事を祈るが、それはユフィも同じ。
はてさて、この二人の想いが重なり合うのはいつになることやら。


一方、エースとデュースはと言うと―――

「今日はどうでしたか?」
「とっても調子が良かったみたいで、元気よく走ってたよ」
「フフ、久しぶりにエースさんに会えてチョコリーナも嬉しかったんですね」
「そうだと嬉しいな」
「きっとそうですよ」

デュースが後ろからエースに抱きつく形で二人は乗っていた。
本当はユフィたちのような乗り方もしてみたかったが、これはこれで悪くない。
背中のデュースの温度を心地よく思いながらエースはある質問をした。

「なぁ、デュース」
「何ですか?」
「ヴィンセントとは・・・何を話してたんだ?」

実はエースもデュースとヴィンセントの会話が気になっていた。
特に二人で笑っていた時などは―――

「別に大した事は話してませんよ」
「でも二人で楽しそうに話してたし―――」
「エースさん、もしかしてヤキモチ妬いてるんですか?」

グサッと図星の槍がエースの心に突き刺さる。

「べ、別にヤキモチなんか・・・!」
「心配しなくても私はエースさんの事が大好きですよ」

止めにぎゅっと抱きつけば、エースはそれっきり黙ったままとなった。
チラリと綺麗な髪から覗く耳を見ると、それは真っ赤に染まっていてなんとも可愛らしい。
普段こちらが顔を赤くさせられている方なのでこれはその仕返しだ。
エースの一枚上を行けてデュースは満足して微笑む。



のどかなチョコボ牧場に色々な想いが飛び交うのであった。










END
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