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□マキナの疑問
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俺はマキナ。
朱雀の候補生だったんだが今は訳あってみんなと一緒に商店街で働いている。
これといった事件もなく平和で、何よりも大好きなレムと一緒にいる時間も増えたので毎日が充実している。
けれど、そんなリア充な俺には疑問がある。
それは―――
「では、3番の部屋へどうぞ」
どうして俺はカラオケBOXで働いているのだろうか。
いや、別に職場に不満がある訳じゃない。
一緒に働いてるアーヴァイン・ビビ・ヴィンセントは優しいし良くしてくれる。
ただ、俺がカラオケBOXで働いているというのが・・・なんか・・・。
別に他に何かやりたいという訳ではないが・・・うん・・・。
「マキナ」
「・・・」
「マキナ!」
「あ、悪い。なんだ?」
「休憩時間だから交代しに来たんだよ」
「ああ、そうか。じゃあ、俺ちょっと昼ご飯食べてくるよ」
「行ってらっしゃい」
ビビにレジを代わってもらい、エプロンを脱いで俺は昼飯を求めて外へと出た。
行き先は勿論、レムが働いているミセスドーナツだ!
レムに笑顔で接客してもらって笑顔でドーナツを渡してもらうんだ!
ああ、レム!
君の笑顔だけで俺の胸はいっぱいだよ!
待っていてくれ、今君のヒーローがドーナツを買いに行くぞ!
「レムー!」
「あ、マキナいらっしゃ〜い」
・・・おかしいな。
俺のシナリオではここでレムが「いらっしゃい、マキナ♡」って言って迎えてくれる筈なんだが・・・。
「・・・ジャック、レムは?」
「休憩時間になったから奥でシンクと一緒にご飯食べてるよ〜」
「用があるのでしたら呼んできましょうか?」
「ああ、いや、別にいい・・・」
トレイの親切は嬉しいけど接客して欲しい為だけにレムを呼んでもらうのはやっぱり躊躇いがある。
俺は二人に軽く謝って店を出た。
レムが店員の時に買わなきゃ意味がないんだ。
それにしても・・・
「これで7回目か・・・」
俺の休憩時間は一時間。
レムの休憩時間も一時間。
休憩を取る時間はどっちも大体同じような時間だ。
俺は最初、レムと同じ時間に休憩を取って『オカン食堂』で一緒に昼ごはんを食べようと思ってた。
だが、レムは自分で弁当を作る派だったのでそれは叶わなかった。
仕方ないので時間をずらしてレムの休憩時間が終わった頃に俺は休憩に入る事にした。
こうやって時間をずらせば確実にミセスドーナツでレムと遭遇する事が出来る。
けれども、遭遇出来たのはたったの1,2回程度だった。
その他はさっきのような結果だ。
「いや、俺の運が悪いだけだ」
例え今朝のテレビの占いで一位だったとしても、それは俺の運がレムに遭遇するにはまだ足りないって事だ。
うん、そうに違いない。
ポジティブに考えた所でコンビニにでも行くか。
「お、マキナらっしゃいッス」
ファイナルマートに入るとティーダがレジから迎えた。
軽く挨拶して俺はおにぎりコーナーに直行した。
(鮭におかかに梅干しにからあげマヨにハム&エッグ・・・)
いつもいつも思うんだが、何故このコンビニのおにぎりのラインナップはこの5つだけは揺るがないのだろう。
からあげマヨまでは揺るがなくても別にいいと思うし、むしろ揺るぎがあったらそれはそれで問題だ。
それよりもハム&エッグがずっとある事に俺は疑問を感じている。
確か他のコンビニではハム&エッグは季節限定のような物で、滅多に売られていない物だ。
なのに何でずっとあるんだろうか・・・。
(誰かが好きなのか?)
ちなみにどうでもいい事だが、塩おにぎりは売ってない。
理由は美味しくないだとか。