お題倉庫

□自分式体重計
1ページ/1ページ

「・・・どう?」
「どう、と言われてもな・・・」
「重くなった?」
「わからん。体重計に乗ったらどうだ?」
「やだ、怖いもん」

モンスター相手に勇猛果敢に闘う少女が体重計如きを怖がるとはこれ如何に。
増えていたところで見た目的にも変わりはないし、むしろユフィは痩せ過ぎなのではないかとヴィンセントは内心思っていた。
そんなユフィは体重計に乗る代わりにヴィンセントの上に乗って自分の体重について聞いているというのが今の状況である。

「とりあえず気にしなくて良いとは思うが」
「そ。じゃぁいいや。ヴィンセントは自分の体重とか気にならないの?」
「あまり気にならないな。それに―――」

ヴィンセントは自分の上に乗っていたユフィを押し倒すと、覆い被さるようにしてその上に乗った。

「お前という体重計があるしな」
「アタシいっつも重いって言ってるんですけどー?」
「それは仕方のない事だ。逆にこれだけの外見をしていて軽い方がおかしい」
「まぁ、そうだけどさ。でもそうじゃなくて終わった後にいつまでもアタシの上に乗らないでよ。苦しいんだからさぁ」
「それは悪かったな」

口では謝罪しつつも表情は全く悪びれた風を見せないヴィンセント。
そんなヴィンセントに一矢報いてやりたくてユフィはこんな事を言ってしまった。

「もしも改める気がないって言うんならしばらくはお預けね」
「何?」
「言っとくけどヴィンセントが悪いんだからね?重いって言ってもどかないんだから」

どうだ、と言わんばかりにユフィは勝ち誇った顔をしてヴィンセントを見る。
しかしユフィの予想ではここでヴィンセントは慌てる筈・・・だったが、何故かヴィンセントは面白そうに目を細めていた。
それどころかただならぬ雰囲気が漂っている気がしないでもない。

「下敷きになるような体位でなければいいんだな?」
「え、う、うん・・・?」
「いいだろう。ならば今夜から別の体位でやろうか」

しまった、と思った時には既に遅かった。
見ればヴィンセントはあれこれと何かを思索しているようで、断れる雰囲気ではない。
いや、断ったとしてもほぼ強引に今夜はやる事になるだろう。
しかしそれよりも恐ろしいのが、確実に今夜は朝までコースになるだろうという事であった。
きっと簡単には解放してくれない筈だ。
翌日の事を考えてユフィの顔は段々と青ざめていった。

「あ、あのさ、休憩は―――」
「検討しておこう」

もうダメだ、観念するしかない。
ユフィは自分の浅はかさを呪いながら夜を迎えるのだった。














オマケ


「こうなったら長風呂してちょっとでも時間を稼ごうっと」

しばらくして・・・

「ユフィ、まだか?」
「もうちょっとー」
「そうか・・・」

ガチャ

「ええっ!?な、何入ってきてんの!!?」
「共に入るのは今に始まった事ではないだろう?」
「そうだけどそうじゃなくて!!」
「風呂で前座をしておくのもまた一興と思ってな」
「ふさけんな〜!!」
「長風呂で時間を稼ごうなどと考えたお前が悪い」
「うっ・・・何でわかったの?」
「・・・やはりな」
「カマかけたな!?」
「お仕置きだ」
「ぎゃ〜〜!ヘルプミー!!」










END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ