お題倉庫

□古いビデオテープ
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たまたまニブルヘイム付近で調査任務があり、そのときにニブルヘイムに寄った。
村は相変わらず陰鬱としていて空気が重く、どこか不気味だ。
それはそれとして、暇だったユフィは神羅屋敷で軽いお宝探しをしていた。
三年前の旅やつい最近のオメガ事件の時のロッソの襲撃でもうお宝はないかもしれないが、何かあるとユフィは感じ取ったのだろう。
適当に色々な部屋を漁っている時にユフィはとある物を見つけた。

「ん?ビデオテープ?」

『秘蔵!!』とシールに書かれたテープを色んな角度から眺めながら考えを巡らせる。
宝条のような狂った科学者が作ったのであろうテープかもしれないが、なんとなく気になるものがあった。
そに宝条にしては『秘蔵!!』などといった軽いノリの題名だし、ルクレツィアが付けたにしては何だか違う気がする。
そう考えると果てしなく気になりだし、ユフィはそれを持ち帰る事にした。












「準備よーし」

ビデオテープをビデオデッキに入れ、座布団の上に正座をしてユフィはリモコンの再生ボタンを押した。
いかんせん、古いテープなので再生されるかどうか心配だったが、今の所は順調である。
けれど念には念を、という事でいつでも終了ボタンを押せるように指を配置する。
見るのも憚れる映像が流れてきた時の為の措置だ。
何せあの神羅屋敷にあったものだからどんなグロい映像が映っていてもおかしくはない。
ただ単に普通に番組の録画という可能性もあるかもしれないが、期待は出来ない。
不安と期待が綯い交ぜになる中、パッと画面が明るくなった。

「・・・ん?何だこれ?」

映像は見るからにビデオカメラで撮影したと思われるものだった。
その証拠に画面が手ブレを起こしたように少し動いているし、何より手書きで書いたような紙が映されていたからだ。
紙には『ファン必見!タークス・オブ・タークス秘蔵の映像集!〜ヴィンセント・ヴァレンタインの全て〜』と書かれている。

「ヴィンセント・ヴァレンタインの全て?」

ユフィが軽く首を傾げると,それに応えるようにカメラを持っている男が喋りだした。

『えー、ファンの皆様こんにちは。これより、ヴィンセント・ヴァレンタインの知られざる一面を探りたいと思います』

そこで台詞が終わるとブツッと画面が切れ、瞬時にどこかの部屋が映しだされた、
ここまでくれば深く考えずともこのビデオが何なのか察しがつく。
恐らくこれはタークス時代のヴィンセントを撮ったビデオであろう。
更に『秘蔵!!』というタイトルや男の言葉から察するにヴィンセントのファンの為のビデオであると分かる。
ユフィとしてもタークス時代のヴィンセントがどんな様子だったのか知りたいので視聴を続けた。

『現在、僕達はオフでとあるホテルに泊まりに来ています。ヴィンセントはただいま入浴中ですが―――」

『出たぞ』

聞き慣れ低い声が聞こえると、映像は180度回転して声の主である男を映した。
男は上半身裸で首にタオルを巻いており、ひと目で風呂上がりだと分かる。
それと同時に髪は短くとも雰囲気や先ほどの声、何より顔からしてその男はまさしく―――

『おー、出たかヴィンセント』

そう、タークス時代のヴィンセントだった。
髪の長さと身体の傷を除けば彼は今となんらかわりない姿である上に今よりも明るく見える。
如何に宝条関係が彼の人生を狂わせたかが伺いしれる。
けれどそれらの決着はついこの間の事件で全てケリが着いたのだからと振りきって映像に集中した。
同情するのはヴィンセントに失礼だと思ったからだ。

『・・・何をしてるんだ?』
『ん〜?記念撮影だよ記念撮影!最近新しいビデオカメラ買ったから記念すべき第一回目の撮影をしてるんだよ』
『変なものは映すなよ。万一の事があってはタダでは済まないからな』
『判ってるって!』

万一のものよりももっととんでもない物を撮られている訳だが・・・このヴィンセントは気づいていないようである。

『ヴィンセント、ズボンで暑くないの?』
『問題ない。それに短パンは好きじゃない』
『ふ〜ん・・・くそ、生足サービスが出来ないな
『何か言ったか?』
『ううん、何でもない!それより酒飲もうよ!何飲む〜?』
『ビール』
『んじゃ、僕もビール飲もっと』

映像が動いて冷蔵庫からビールの缶が二本取り出されると、それがテーブルの前に置かれる。
あらかじめ用意されていたのであろう三脚にビデオカメラが固定されると、それ以降はヴィンセントが映され続けた。
勿論、ヴィンセントの視線はカメラの方に向き、訝しげな目がこちらを睨む。

『・・・いつまで撮るんだ?』
『そのうち』
『本当に記念撮影だけなのか?』
『やだな〜ヴィンセント〜。僕の事疑ってるの〜?』
『お前は碌なことをしないからな』
『や、やだな〜、本当に純粋に撮影してるだけだって〜』

流石ヴィンセント、鋭い。
撮影している男は必死に言い訳をしながらヴィンセントの意識をカメラから逸そうとする。

『それよりさ、ここのホテルの受付の子、可愛くなかった?』
『さぁな』
『お前どんだけ興味ないんだよ〜。てかさぁ、ぶっちゃけお前の好みの女の子ってどんなの?』
『好みか・・・』

ヴィンセントの好みと聞いてピクッとユフィが反応する。
誰だって付き合っている相手の好みの人間になりたい。
それはユフィも同じで、前々からヴィンセントの好みの女性がどんなものか気になっていた。
これは是非とも聞きたい、撮影者の男に引き出してもらいたい情報だ。
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