お題倉庫

□ブランケット
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「―――っ!」

最大限の熱を注ぎ終えたと同時にヴィンセントはゆっくりとユフィの上に崩折れた。
ヴィンセントの下にいるユフィは息はしているものの、絶頂に意識を攫われて起きそうにもない。
そしてその絶頂の余韻の所為か、ユフィの中は僅かにヒクヒクと収縮しており、果てているヴィンセントの分身を刺激する。
たったそれだけで元気になりかける自分の分身を心の隅で恥ずかしく思いながら気怠げに上体を起こしてティッシュに手を伸ばす。
今二人がいるのはベッドの上ではなくソファの上で、しかもソファは革製だ。
ソファの上で行為に及んだ場合はちゃんと綺麗にするのが暗黙のルールである。

「っ・・・ぅ・・・」

なるべくユフィを気遣いながら己自身を引き抜いたものの、ユフィが小さく呻く。
小さく申し訳ないと思いつつも、引き抜いたのと同時に溢れ出てきた愛液混じりの白濁の液体をティッシュで丁寧に拭き取る。
なるべく指で掻き出して溢れ出てこないようにするのも忘れない。
液体を吸収して役目を終えていくティッシュを次々ゴミ箱に捨てて新しいティッシュを使う。
ユフィの下腹部があらかた綺麗になった所で今度はソファに飛び散っているユフィの愛液を拭き取る。
とはいってもこれは一時的な承知のようなもので、後で濡れティッシュなどで綺麗にしたりするのだが。

「・・・これくらいでいいな」

適当に拭き終わった所で最後のティッシュをゴミ箱に投げ捨てる。
ゴミ箱の中の表面は軽くティッシュで覆われていた。

「さて・・・」

ソファから降りてユフィを寝転ばし、近くに放り出されていたブランケットをパサリとユフィにかけた。
このブランケットは最初は冬場に足が冷えるからという理由で購入したが、今ではこうした事にも活用している。
二人はソファの上で行為に及ぶ事もままあるので、終わった後の動けないユフィにかけたりするのだ。
毛布程の温める力はないけれど、ないよりマシだ。

ユフィへの配慮が済んだら次は自分の事だ。
ユフィの衣服の上に重なるように脱ぎ捨てられている下着とレザーパンツを履く。
上着は・・・まだ熱いので着ない。
どっかりと座ってソファに背を預け、ぼうっと窓の外を見た。
外は気持ちの良い天気で雲がのんびりと青空を泳いでいる。
太陽の眩しい日差しがカーテン越しに差し込んでおり、室内を明るくしている。

(ユフィの代わりに洗濯物を干しておかないとな・・・それから買い物にも行かなくては)

つらつらと今日の予定を軽く立ててチラリとユフィの方に視線を向ける。
情事の時程ではないが、ユフィの頬は赤く色づいていてどこか幸せそうな表情をしており、心なしか胸の内が温まった。
気づいた時には手が勝手に動いていて、愛おしそうに優しくユフィの髪を撫でていた。
柔らかい黒髪の肌触りが心地良い。

「・・・ユフィ」

愛情を込めてその名を呼び、ガラス細工に触れるかのように額にキスを落とした。
すると―――

「そこは唇にするとこじゃない?」

ユフィがパチっと目を覚まして身動ぎした。

「・・・起きていたのか?」
「うん。って言ってもついさっきだけどね。ヴィンセントが頭撫でてくれたとこから」
「そうか」

身動いでズレたブランケットをかけなおしてやりながらリクエスト通り唇にキスをする。
ただ合わせるだけのキスだが、それはとても熱っぽかった。

「ん・・・ね、今日一緒に買い物行こうよ」
「身体は大丈夫か?」
「少し休めば大丈夫だと思う。あ、でも洗濯物は宜しくね」
「フッ、わかっている」

もとよりするつもりでいたが、けれどもちゃっかりしているユフィに小さく苦笑してもう一度キスをする。
今度のキスはじゃれ合うようなキスだった。
甘い一時もそこそこに、ヴィンセントは上着を着て洗濯物を取りに行こうとした。
足を踏みだそうとしたその瞬間に裾を引っ張られ、ユフィを見下ろす。

「ちょい待ち」
「どうした?」
「風呂場まで運んで?」

見上げてくる悪戯な瞳に未だかつてヴィンセントが勝てた事など一度もない。

「・・・いいだろう」
「やりぃ!」

ユフィは喜んで起き上がり、ブランケットをタオルのように巻くと腕を広げた。
・・・これだけの動きが出来れば風呂に行く事も難しくはないだろうが、まぁいい。
ヴィンセントはユフィを抱き上げて風呂場へと足を運んだ。

「へへ、ありがと!」

ぎゅっと首に腕を巻きつけて抱きついて来るユフィに思わず頬が緩む。
このまま自分も一緒に風呂に入ってしまおうかとのんびり考えるヴィンセントであった。











END

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