お題倉庫

□カタログ雑誌
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「新しい水着買っちゃおうかな〜」

卓袱台の上に雑誌を広げていたユフィがそう呟いた。

「買いたければ買えばいいだろう」

真後ろでソファに座って本を読んでいたヴィンセントがそう返す。

「う〜ん、どれがいいかな〜って」

頬杖をついてユフィは雑誌を眺めてはページを捲る。
何となく興味が向いたヴィンセントは雑誌の方へと顔を向け、同じように記事を眺める。
記事の内容は夏の水着特集で、綺麗なモデルの女性たちが様々な水着を着ていた。
その中でユフィがとある女性が着ている水着を指さす。

「これとかどーかな?」

ホルターネックタイプと書かれたそれは、どうやらブラを首の後で結ぶ水着のようである。
頭の中で写真の女性とユフィをトレースしてホルターネックを着たユフィを想像するヴィンセント。

「・・・いいんじゃないか」
「そんじゃ、候補かな」

ユフィは黒のボールペンで写真に丸をつけた。

「こっちはどーよ?」

次にユフィが指さしたのはタンキニだ。
ワンピース系、キャミソール&ホットパンツ系などと色々ある。
これらも同様に頭の中でトレースして思い浮かべる。
キャミソール&ホットパンツの方はすぐに思い浮かべる事が出来たが、ワンピースの方は少し思い浮かびづらい。

「・・・これがいいんじゃないか?」

ヴィンセントは素直にキャミソール&ホットパンツの方を指さした。

「確かにこれもいいけど、自分で言うのもなんだけど普段のアタシの服装と変わらなくない?」
「まぁな」
「ワンピース似合うと思う?」
「正直に言うとあまり想像がつかない・・・が、今度試着しに行くのはどうだ?」
「お、いいね。行こ行こ!」

ユフィはタンキニのワンピースとキャミソール&ホットパンツに丸をつけて次の水着を指さした。
次はパレオの着いた水着だ。

「ちょ〜っと大人っぽくパレオとかどーよ?」

三度頭の中でパレオを着けたユフィを想像する。
パレオを着けたユフィは・・・似合っていて可愛かった(多少の補正はかかっているかもしれないが)。
ヒラヒラと揺らめくパレオから覗く魅惑の足。
そして上はホルターネックでいつも以上に大胆に曝け出される背中。
可憐な外見と生命力溢れるその言動も相まって、恐らくは視線を集める事間違いなしだと思われる。

(これは・・・)

「やっぱいいよね〜パレオ。パレオにしよっかな〜」
「・・・・・・ダメだ」
「は?何でよ」
「何でもだ」
「まさか似合わないからなんて言うつもりじゃないだろーなー?」
「そういう訳ではないが・・・ダメだ」
「あ、判った!さては可愛いユフィちゃんが他の男に誘惑されるかもしれないって心配してたんだろ?」

何故こうも女という生き物は勘が鋭いのか。
ヴィンセントは指摘された心配事を認めたくなくてわざとらしく話しを逸らした。

「浮き輪はいらないのか?」
「いらないよ!てか、話し逸らすな!」
「ビーチサンダルの特集はないのか?」
「どーなんだよヴィンセント!やっぱ図星?図星だったりすんの?」

ユフィの追及をさらりと流して勝手に次のページを捲る。
すると、次のページには『南国ブライダル!青い海に誓いを―――!』という記事が書かれていた。
写真にはウェディングドレスを着た女性とタキシードを着た男性が写っており、指輪を交換している。
ヴィンセントは勿論の事、先程まで騒いでいたユフィもピタリと言葉を止め、その記事を見つめた。

「・・・」
「・・・」
「・・・ドレス、か」
「確か、婚礼の儀式というのをウータイでするのだったな」
「そ。絶対に着物着るんだよね〜。まぁでも、後の披露宴は好きなようにしていいみたいだけどサ」
「なら、ドレスの下見にも行くか」
「そーこなくっちゃ!」

満面の笑顔で振り返ったユフィは軽くヴィンセントの膝を叩く。
その膝を叩いた左手の薬指には、キラリと輝く指輪が嵌められているのであった。











END

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