お題倉庫

□早く閉めよう冷蔵庫
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「何にしよっかな〜」

冷蔵庫の扉を開け放してユフィは冷蔵庫の中をじっくりと眺めていた。
冷蔵庫の中には豆腐や油揚げ、牛乳にフルーツをメインとした様々なヨーグルトなど色々な食材が冷やされている。
その中でもユフィを悩ませているのがプリンとゼリーだ。
滑らかで蕩けるような舌触りのプリンか、甘いフルーツも楽しめる果物入りゼリーか。
はたまた変化球でコーヒーゼリーにするか。
ユフィの脳内会議の議論は白熱し、中々結論が出ない。
だが、そうしている内に冷蔵庫がピーッと悲鳴上げてしまい、ユフィは一旦冷蔵庫の扉を閉める事とした。

「プリンかゼリーか・・・」

冷蔵庫の扉に額を当ててユフィは悩む。
プリンかゼリーか・・・ゼリーかプリンか・・・。

「ん〜プリンにしようかな〜」

もう一度冷蔵庫を開けてプリンとゼリーを見比べる。
だか決まらない。
手を伸ばしかけては引っ込め、伸ばしては引っ込めを繰り返す。
こうなったらこれまた変化球でヨーグルトにでもしようか。
しかし、それはそれで今度はどのフルーツのヨーグルトにするかという悩みが生じる。
そうやって延々と悩んでいると、再び冷蔵庫が悲鳴を上げ、早く閉めろと催促してくる。
だが、ここで閉めてしまえば同じ事の繰り返し―――

「何をやっているんだ」

バタン、と別の手が冷蔵庫の扉を閉め、逃げていく冷気を封じた。
ヴィンセントだ。
呆れたような表情を浮かべてこちらを見下ろしている。

「プリンとゼリーどっち食べようかなって悩んでたんだよ」
「悩む程の事か?」
「なんかドツボにハマっちゃってさ〜。どうしたらいいと思う?」
「取り敢えず冷蔵庫を開けたまま悩むのはやめろ」
「だってどんなゼリーがあったか確かめたいもん」
「一度見れば覚えるだろう」
「それが何となく見ずにはいれなくてね〜」
「全く・・・」
「もうアタシじゃ決めらんないからヴィンセントが決めてよ」
「仕方ないな」

ヴィンセントは冷蔵庫からみかんゼリーとコーヒーゼリーを取り出し、みかんゼリーをユフィに渡した。

「サンキュー」

ユフィはスプーンを二つ、食器棚の引き出しから取り出し、ソファに座ってヴィンセントと一緒に食べ始めた。

「次またドツボにハマっちゃったらどーしよ?」
「私がいる時に悩んだら私が決める。私がいない時悩んだらとりあえずプリンを選ぶ事にする、というのはどうだ?」
「そうしよっかな。そん時は宜しくね」
「ああ」

そんな訳で、ユフィは悩んだ時はヴィンセントに選んでもらい、ヴィンセントが不在の時はプリンを選ぶようにするのであった。





と こ ろ が ・ ・ ・





「悩むな〜」

別の日、ユフィはまた冷蔵庫を開け放したまま悩みに悩んでいた。
また冷蔵庫が悲鳴を上げそうになるが、そうなるよりも前に再びヴィンセントが扉を閉める。

「はぁ・・・今度は何で悩んでいるんだ?」
「エクレアかシュークリームか」
「・・・シュークリームにしておけ」










END

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