お題倉庫

□開かない金庫
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ユフィの実家の蔵にて、ユフィはある物の前でしきりに頭を捻っていた。
もうかれこれ一時間は頭を捻っている事だろう。
そんな、いつまでも蔵にいるユフィを探してヴィンセントが入ってきた。

「ユフィ、何をしている?」
「あ、ヴィンセント。ヴィンセントもこれの開け方考えてくんない?」

そう言ってユフィが見せたのは普通一般そこらにあるようなダイヤル式の小さくて黒い金庫だった。

「・・・考えてくれと言われても私にはどうしようもないぞ。パスワードはゴドー殿が知ってるんじゃないか?」
「それがどーもこの金庫、パスワード系のじゃないんだよね。数字が合った時の音しないし。
 ていうか、これそのまんまのベタな仕掛けの金庫じゃないと思うんだよねー」
「つまり?」
「アタシの一族がなんだか忘れた?忍者だよ忍者。特殊な仕掛けがされてるに決まってんじゃん」

ニヤリ、と笑うユフィに「なるほど」と薄く笑って返すとヴィンセントはユフィの隣に腰を下ろした。
こういった感じの謎解きはヴィンセントは嫌いではない。
むしろ好奇心を掻き立てられる。

「他に試した事は?」
「押したり引いたり縦や横に扉が開かないかって色々試したよ」
「それでも開かなかったんだな?」
「うん」
「そうか・・・」

ヴィンセントは金庫の全体を掌で触ってみたが、スイッチや鍵穴のようなものは見つけられなかった。
他にも金庫のあらゆる面を軽く叩いてみたが、硬くて無機質な石の音が響くのみ。

「ダイヤルか把手に何か仕掛けがあるんじゃないか?」
「そう思ってさっき調べてみたんだけど、なーんもなかったんだよねー」
「では、他に考えられる仕掛けはあるか?」
「うーん、火で炙ったり水に溶かしてみたりするとか?」
「とてもそんな材質には見えんが・・・」
「じゃあヴィンセントはなんか無いの?」
「そうだな―――」

小さな金庫を前にあーでもないこーでもないと意見を出しあう二人。
そして、そんな二人をこっそりと見守る影が一つ。












「おや、ゴドー様、ここにおられましたか」

ゴーリキーは蔵の扉の前に佇んでいたゴドーを見つけると首を傾げながら尋ねてきた。

「蔵の前で一体何をしておられるのですか?」
「おお、ゴーリキーか。いやな、ユフィとヴィンセント殿が蔵から帰ってこんと思って来てみたのだがな・・・」
「どうかしたのですか?」
「いやー・・・ワシが昔遊び半分で作った偽物の金庫があってな、それを蔵に放置してたんじゃ。
 そしたらそれをユフィが見つけたみたいで、ヴィンセント殿と一緒に開けようとしてるんじゃ」
「・・・それは今すぐお伝えした方が良いのでは?」
「言えるもんならとっくに言っとるわい。あそこまで来たらもう言いづらいじゃろ」
「まぁ、確かにそうではありますが・・・」
「二人が諦めるのを待つしか無いのぅ」
「あのユフィ様が諦めると思いますか?」
「じゃよなぁ・・・」

はぁ、と溜息を吐きつつゴドーは蔵の前から去ってゴーリキーと共に家の中に入っていった。



その後、真相を知ったユフィが大爆発するのは一時間後の事である。














END

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