お題倉庫
□指輪とネックレスと
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立ちっぱなしだった為に疲れた足を休めるように化粧台の椅子に座る。
本当はすぐにドレスを脱ぐべきなのだけど、その前にアクセサリーを外さなければならない。
化粧台の引き出しからジュエルボックスを取り出して蓋を開ける。
ジュエルボックスの中には指輪が3つとネックレスが1つ。
指輪の3つの内の1つは、三年前の旅の時にティファとエアリスと一緒に遊びで買ったもの。
安物で、けれども大事な思い出のつまった指輪。
2つ目は、最近ティファと買い物に行った時に見つけて買ったもの。
買おうかどうか迷ったけど、ティファに凄く似合うと褒められて、嬉しくてつい買ってしまったもの。勿論後悔はしてない。
3つ目は母さんの形見の指輪。
家にしまっていても勿体無いし、自分が着けた方が母さんも喜ぶと親父が渡してくれたもの。
ちなみにジュエルボックスに入ってるネックレスと、今自分が着けているネックレスも母さんの形見の物。
その着けているネックレスを丁寧に収めて、チラリと左胸のブローチに目線を送る。
ヴィンセントがプレゼントしてくれた淡いピンク色の蝶々のブローチ。
待ち合わせをしてパーティー会場に向かおうとした途中でヴィンセントが、まだ余裕があるからと言って寄った店で買ってくれたもの。
『ネクタイのお返しだ』
ヴィンセントが、自分がプレゼントしたネクタイを着けて来てくれたのが凄く嬉しかった。
だから、お返しなんて別にいらなかった。
それでも自分の気がすまないと言ってヴィンセントはユフィに似合うブローチを選んで贈ってくれた。
『急繕いで申し訳ないが』
なんて、やや申し訳なさそうに言っていたけれど、そんなのは関係ない。
自分に似合うブローチを選んで贈ってくれたというその事実が嬉しいのだ。
「エヘヘ、ティファに報告しなくちゃ」
そっとブローチを外して、ジュエルボックスのブローチを入れるスペースにそれを置く。
キラキラと輝く美しい蝶々。
あのヴィンセントがユフィに贈ってくれたブローチ。
ネクタイの事も含めて思わずにんまりと笑って、自惚れてしまいそうになる。
「へへ〜、期待しちゃっていいのかな〜」
何度も何度も今日の出来事を思い返しながら着替えてベッドに潜り込む。
夢の中であのネクタイを着けてくれているヴィンセントが出てきた気がした。
END
beforeヴィンセント→<ハンガーに掛かるネクタイ>