お題倉庫

□飲みかけペットボトル
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青白い大きな月の光が一つの部屋に差し込む。
二つの荒い息と、二つで一つの熱を放つ部屋には十分過ぎる程の光だ。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁっ」

激しい動きの後の呼吸の乱れを整えつつ男は愛しい女を見下ろしながらサイドテーブルの上のペットボトルを荒々しく掴む。
ペットボトルの中身の水は飲みかけで、四分の一ほどの量が既になくなっている。
更に飲み始めた時はキンキンに冷えていたそれは今では自分の体温と変わらないほど温くなっていた。
しかしそんな事にも構わず男―――ヴィンセントはキャップを開けるとグイッと勢い良くペットボトルを傾けてそれを喉に流し入れた。
温くても喉を潤してくれる事に変わりはなく、ヴィンセントに癒やしをもたらす。

「っ・・・アタシ、にも・・・ちょーだい・・・」

体の下の愛しい女性―――ユフィが蕩けた瞳で飲み物をねだってくる。
そんな瞳で飲み物をねだって来たとあればここはお決まりのアレをするしかない。
ヴィンセントは楽しそうに口の端を歪ませると水を一口含み、すぐ様ユフィと唇を重ね合わせた。

「んっ・・・ん・・・」

ヴィンセントから与えられる水をユフィは恍惚の表情で余すことなく飲み干す。
そこで一度唇を離して見下ろせば、潤ったユフィの唇がとても美味しそうに見えて、こちらの方がより喉の乾きを癒せるのではと本能が告げて、ヴィンセントはかぶりついた。

「は、んっ・・・はむ・・・ヴィ、ン・・・」

ユフィも癒やしを感じているのか、蹂躙してくるヴィンセントの舌に喜んで絡みつく。
密事の最中に何度もお互いの唾液を交換したというのに二人に飽きた様子はない。
いや、飽きる事なんて一生こないだろう。
そうやって二人で長い間唾液を交換しあっていると、不意にユフィがヴィンセントの体を押し返してきた。

「・・・どうした?」

名残惜しそうに銀色の糸を引かせながら顔を離して尋ねればユフィは照れたようにはにかんだ。

「ん・・・今度は・・・アタシが・・・ヴィンセントに飲ませる」

予想していなかった言葉にヴィンセントが一瞬呆気に取られていると、ユフィはさっさとヴィンセントをベッドに押し倒してマウントを取った。
しかしこれはこれで良いかと思い直し、ユフィの好きなようにさせる事にした。
ユフィは早速ペットボトルに手を伸ばすとヴィンセントと同じように水を一口含んで唇を合わせた。

「ふっ・・・ん・・・」

仕掛けてきたユフィが途中で逃げないようすぐににと体を抱きしめ、後頭部を固定する。
拘束された事を察したユフィは少しだけ身動ぎをしたがすぐに逃走を諦めて全力で向かってきた。
まんまと罠にかかってくれた恋人に心の中で感謝しつつ世界を反転させ、マウントを取り戻す。

「やらぁ・・・ヴィン、セントぉ・・・!」
「・・・諦めろ」
「やぁだ・・・今度はアタシが上・・・」
「私が終わったらな・・・」

終わる頃にユフィに体力があればの話だが。


意地悪な微笑みを口の端に湛えてヴィンセントはユフィの足を広げた。










END

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