萌えキャンなのよ
□雨の日
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雨の日。
お使いを頼まれていたクラウドだったが、帰る途中に雨に見舞われてシャッターの締まった店の軒下で雨宿りをしていた。
「参ったな、やっぱり傘を持ってくれば良かった」
サァアアアア・・・・
「時間的にティファは夕飯作るのに忙しいと思うし、電話するのは悪いよな」
サァアアアア・・・
「このまま走ってもいいが買った物がずぶ濡れになるしなぁ・・・」
サァアアアア・・・
「・・・やっぱり電話して来てもらうか」
ピポパポポピパッ
Prrrrrrrrrrr
『もしもし?』
「もしもし、ティファ?実は雨が降ってきて―――」
『傘がないんでしょ?』
「ああ、だから―――」
『迎えに来たわよ』
「・・・!」
「風邪引いてない?大丈夫?」
「俺は大丈夫だ。それよりもティファは大丈夫か?ここまで来るのに寒かっただろう?」
「ううん、平気。子どもたちが待ってるから帰りましょう」
「ああ」
ティファから傘を受け取って二人並んで帰路を辿る。
だが、先程まで降り続いていた雨は瞬く間に止んでしまう。
「雨・・・止んだね」
「・・・ごめん」
「クラウドが謝る事じゃないわよ」
傘を畳みながらティファは気にしてないという風にクラウドに微笑んでみせる。
そして何気なく空を見上げて「あ・・・」と小さく声を漏らした。
「どうしたんだ?」
「見て、星よ」
ティファに促されてオレンジから真っ暗闇になろうとしている夕暮れ時の空を見上げる。
すると、そこには沢山の星がキラキラと輝いていた。
その輝きと美しさはかつてティファと給水塔で約束を交わした夜を思い起こさせる。
「・・・綺麗だな」
「そうね」
クラウドは音もなく微笑むと静かにティファの手に己の手を絡めた。
「クラウド?」
「帰ろう、ティファ」
「―――うん」
傘を片手に二人は雨上がりの夕暮れの道を歩むのだった。
→ヴィンユフィ