萌えキャンなのよ
□雨の日
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雨の日。
本屋で立ち読みや本の物色をしていたヴィンセント。
いくつか本を選んで会計を済まし、外に出てみればザァザァと雨がとめどなく降り注いていた。
「傘は・・・持ってきていないな」
大丈夫だろうと踏んでいたらこの有様。
最近は本屋でも傘がそれなりに売っていたりするのだが生憎本日は売り切れ状態。
なんともついていない。
「携帯・・・も忘れてしまったな」
こんな時に限って忘れてしまう。
しかも時代が時代なだけに公衆電話も見かけない。
どうしたものか・・・
「ヴィンセント」
「ユフィ・・・?」
思ってもみなかった人物の登場に思わず呆然とする。
ヴィンセントにしては珍しく驚いていた。
「や〜っぱり傘持ってってなかったみたいだね?」
「ああ、お蔭でこの有様だ」
「携帯も忘れたでしょ?」
「ああ」
「も〜!何の為の携帯だよ!しかも充電切れてるし!」
「単に持っていくのを忘れただけだ・・・充電が切れてるのには気付かなかったが」
「全く、ヴィンセントは仕方ないだんからさ〜」
なんて言い放つユフィの表情は満更でもなさそうで。
「はい、傘。早く帰ろ」
「ああ」
傘を受け取ってユフィと並んで帰路を辿る。
が、その途中であれほど激しく降っていた雨が瞬く間に上がってしまう。
「止んだな」
「だね〜。これで雨に濡れるの心配しなくていいし、スーパーで惣菜買って帰ろうよ」
「ああ」
「デザートにアイスも買お!」
「私はコーヒーゼリーがいい」
「んじゃ、アタシは生クリームプリン!」
進路を変えてスーパーへと向かう二人を夕日が照らし、影を長く伸ばすのだった。
END