自警団
□まずはできることから
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「よし、これでいいな」
エースは写真立てを棚に飾り付けてフッと息をつく。
これで引っ越しは完了だ。
アレシアがニルヴァーナへ移ると言ったので引っ越しをする事になった。
朱雀を離れるのはしのびなかったが、アレシアはしばらくは朱雀を離れても大丈夫だと言ったし、いつでも行ってもいいと言った。
だから再び朱雀に訪れる事をマキナたちと約束してエースたち12人はニルヴァーナへと移ることにした。
そして引っ越しの片付けを終えた証でもある先程の写真立ては朱雀を離れる前日に0組の全員で撮った写真。
マキナ、レム、クオン、ムツキ、リィド、カルラ、ナギ、クラサメ、トンベリ、モーグリ、アリア、全員0組の仲間だ。
「絶対に会いに行くからな」
写真立てに向かって微笑むと、控えめなノックが耳に入ってきた。
「エースさん、部屋の片付けは終わりましたか?」
ノックの主はデュースだ。
エースはデュースの質問に優しく答える。
「ああ、たった今終わったよ」
「じゃあ、リビングで休憩でもしませんか?他の皆さんもいますよ」
「わかった、今行く」
エースは埃をはく為の掃けを机の上に置いて部屋を後にした。
「はぁ〜、やーっと終わったよ〜」
ぐったりとした様子でケイトが机に突っ伏す。
「フフ、お疲れ様です」
デュースは可愛らしいガラスのコップに麦茶を注いでケイトの前に出した。
コップを掴んでぐいっと麦茶を飲み、喉を潤したケイトは他の面々を見ながら尋ねる。
「ね〜、マザーは?」
「マザーはギルドの最高責任者のブラスカという方の所へ挨拶に行きましたよ」
同じように麦茶で喉を潤したトレイが質問に答える。
「マザーの部屋の片付け、大丈夫なのかな」
「俺とナインが荷物を運んでクイーンとセブンが片付けた。問題ない」
淡々と説明してキングは麦茶を一口飲む。
その次に少しだけ麦茶を飲んだ後のシンクが口を開く。
「マザーはさぁ、
『“ここ”は自由が支配する空間。あなた達は何をするのも自由。ここでは思いっきり羽を伸ばしなさい』
って言ってたけどぉ、どーいう意味なんだろうね〜?」
「あいっかわらずよく分かんねーけど、とにかく何やってもいいんじゃねーか?遊んだりどっか行ったりよぉ」
「だが、ミッションはあるみたいだぞ。任意で受けるものから上から降りてくるものまで」
飲み干して空になったコップに新たに麦茶を注ぐナインの隣で、麦茶を3分の2まで飲み終えたエイトが言う。
それに対して麦茶を3分の1飲んだサイスが心底不満そうに頬杖をついた。
「どこに行ってもミッションは付き纏うのかよ」
「マザーが言うには上から降りてくるミッションは頻繁にあるかもしれないが、そんなに気を張らなくていいらしいぞ」
麦茶がなくなったコップをそのままにセブンが言い放つ。
彼女はこの一杯で満足したようだ。
「それよりもさぁ、綺麗な女の人や可愛い女の子がいるらしいじゃ〜ん?僕楽しみだな〜」
「キャラの濃い男たちはどうだ?」
「それは遠慮しておくよ〜」
麦茶を半分飲んで幸せ色に染まるジャックの妄想にエースが横槍を入れる。
そしてエースが残りの麦茶を飲み干している途中でクイーンが笑った。
「ただでさえ私達だけでもキャラが濃いのに、更に他のキャラの濃い人たちが混ざったらどうなるんでしょうね」
「間違いなくカオスになるだろうな」
キングが煎餅に手を伸ばしながら言い放つ。
「でも、きっと楽しくなりますよ」
小さく微笑んでデュースは麦茶を一口飲んだ。