ゆめ

□ピンメリ
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もうすぐクリスマス
街はイルミネーションで彩られ
賑わいを見せているけど…

私は恐らくピンメリ。
いわゆる独りのクリスマスだ





「いらっしゃいませー」


短期のアルバイトで
クリスマス菓子や雑貨を販売することになり、
今まさに仕事中…と言っても平日のお昼時で客足は疎らだった


「あかん!どうやるんやったっけ」
「どうしたの?」
「あ、なぁ、これ包める?」


隣のレジで空いた時間を利用して、
大倉くんは研修で教えてもらったラッピングの練習をしていた


「えっとね、これは…」


同じく短期アルバイトの大倉くん
研修のときからかっこいいなぁと思っていたら、
まさかの勤務店舗が一緒で
歳も近いから話すようになった

背が高くて
笑った顔がすごくかわいい

研修でラッピングの包装紙を故意的に破いて、
みんなの注目を浴びていた
そんなおちゃめな一面もあったりする


「うわ!綺麗やなー」
「一応、他のバイトでもやってたから」
「そうなんや!」


キラキラした瞳に、
胸がドキッと高鳴った…


「名無しさんちゃんは、クリスマスも入ってんの?」
「25日は入ってないの。だから24日で最後だよー」
「俺と一緒や」
「ほんとに?」
「おん。25日は彼氏と過ごすん?」
「まさか!彼氏なんていないもーん」


ピンメリだなんて言ったら、
同情されるのかな?


「へぇ、彼氏おらんねや」
「うん。大倉くんは?」
「俺?いたけど、ついこの前別れたわ」
「え、そうなんだ…なんかごめん」
「ええねんで?振られたわけちゃうし」
「振っちゃったの?クリスマス前なのに」
「だって他に気になる子できてもうたんやもん、しゃーないやん」


気になる子…
ズキ、と今度は胸が痛んだ

クリスマス前にも関わらず
彼女と別れてまで大倉くんに気にしてもらえる
その子がうらやましいって
心の底から思った




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