夢小説
□恋人は幼馴染
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[ 宮地side ]
今は8月の夏休み。
西に傾いた太陽の光は、
もう少しでグラウンドを夕焼け色に染め始めるだろう。
「あー……夕方になってもあんま涼しくねぇなあ。
まだまだ明るいし」
犬走にあぐらをかき、体育館の壁に背中をもたれてそう言った俺は
ひなたのほうに視線を向けた。
目に映るのは、体育館の周りの花壇に
ホースで水をまく一人の幼馴染。
【恋人は幼馴染】
部活の練習は、今日は珍しく無し。
しかし体育館は開けてもらえるということで
俺は女バスの奏と自主練に来ていた。
普段ならほかの部員も居るところだけど、
部活が忙しすぎて全く進まなかったらしい課題を済ませる為に
俺と奏以外誰も来ていない、てか来れなかったもよう。
俺はほぼ全部終わったけどな。
奏は完全に終わったらしい。
一見だだの元気野郎なのに、意外とそういう所ちゃんとしてんだよなアイツ。
「つか休憩時間ぐらいちゃんと休憩しろよなー…」
しかもこの水やり、誰に言われたわけでもなく自主的にやり始めたのである。
本人曰く、
「この時間だったら蒸れて根腐れすることもないよね!」
だ、そうだ。
「清志ー!」
「なんだよ」
「虹ー!」
見れば、シャワー状に吹き出す水を東側斜め上に向けて
こちらに元気な笑顔を向ける奏。
「ばーか、こっちからじゃ角度的に見えねーよ」
「あ」
確かにそうだね、と苦笑い。
そしてまた、ホースをずるずると引きずりながら移動し始める。
楽しそうな微笑を口に浮かべて水を振りまく奏の姿に、
自然と頬が緩むのを感じた。
*