夢小説

□発情期ネコに、ご注意を!
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【※注意】
 ・愛のあるR18
 ・大学1年生の2人
 ・不思議なことが起こる
 ・相変わらず裏が書けない管理人






ぽかぽかと日が照る今日。


一人暮らしのアパートの窓際、
日向のところに寝転び欠伸を1つした。


ここは今日も平和で。
大学は今日、明日と休みを取っているから
久しぶりにゆっくりしようと思っていた。


……うん、思ってた。




“どうしよう清志!!私ネコになっちゃった!!”



なんていう、意味の分からんメールが奏から来るまでは。



発情期ネコに、ご注意を!



「……は?」


ネコ?ネコってあれか。動物の。
漢字で書くと獣偏がつくやつ?

三角の耳が2つに
シャープな尻尾が生えてて。


「いやいやなんの冗談だ」


ありえねぇだろ。

今まで結構勉強してきたと思ってるけど、人が猫に突然変身したなんて聞いたこともそんな文献を読んだことも無いぞ。



“どういう意味?
ってか猫はメール打てねぇだろ”


とりあえず返信する。

するとすぐに返事がきた。


“私も全然分かんない!
なんか一部が猫に……ああもう見た方が早い!清志ん家行っていい!?”



一部が猫に?
ああだからメール打てたのか。納得。
……んなわけあるか。

でも何故か嘘を言ってない感が拭えない。



“いいよ、家にいるから。来いよ”


指先でそう打った。

ってか猫化してるのに外出歩けるわけ?
俺が向こうに行った方がいいんじゃ……でも相手が来るっていってんだから大丈夫なのか。



「わっけわかんね……」



どうしよう。
玄関のドア開けたら「にゃーん」とか言われたら。
いや、普通に可愛いわ。っていやいや何考えちゃってんの俺。

きっと嘘だろ。絶対そうだ。
あんなこと言って、俺の家来たいだけなんだろ。なんだそれも可愛いな。
って、あー、だから何考えてんの。



……しかしそんな期待は見事破られて。




「……何これ」

「耳」

「……これは?」

「しっぽ」

「……何の?」

「……猫の?」




奏を部屋に入れてキャスケットとロングスカートを取ると、
黒髪の間から三角の可愛らしい耳がぴょんと生えていて、
スカートの中に履いていたデニムのズボンの上からすらりとした尻尾が生えていた。

黒い耳と、黒い尻尾。


「……」


手を伸ばして尻尾を触ってみる。

艶のある黒い毛並みのそれは、どう見ても猫のそれで。


掴んでひっぱってみると、痛っ!と奏が声を上げた。



「何すんの!」

「……マジで生えてる」


ゆるゆると意志を持って動く尾。


……これは、信じるしかねーよな…… 。



「……いつからこうなった」

「朝起きたら、なってた」

「お前昨日何食った」

「朝はトースト、昼は親子丼、夜はカレー」

「……普通だな」



まあどんなモン食ったって猫にはならないと思うが。


お互い一人暮らし故に、この事態を知っているのは
本人と俺だけ(本人談)というこの状況。

人に知られたらいろいろ面倒だし、大騒ぎになりそうだからそれはまだ良かった。



「とりあえず、元の姿に戻るまでは外出禁止だろうな」

「だよねー……大学も休まないと」


はあ、と肩を落とす奏。

原因がわからない以上、この姿の治し方も続く期間も分からない。

あまり長く続くようなら
病院に連れて行かなければならないだろう。

……そんとき何て説明すればいいのか検討もつかないが。



「てことでお前治るまで俺ん家泊まれ」

「はい?」

「はい?じゃねーよ、外出禁止っつったろ。
 そんな姿じゃ買い物も行けねぇだろ」


何、嫌なの?と聞くと
キラキラと目を輝かせて首をぶんぶんと横に振る姿が。



「イエーイ、清志ん家にお泊まり!」

「うっせーはしゃぎ過ぎ」



くしゃくしゃと頭を撫でる。

三角の耳がぴこぴこと動いて、むふふと笑うその姿はなんかほんとに猫っぽい。


ベットに座ると、擦り寄るように隣に座ってきて
いつもよりかなりスキンシップが多めだ。
これも猫化のせいなのか。

こいつそのうちマジで猫になっちゃうんじゃないの。
かまってちゃんは可愛いんだけど、さすがにそれは困る……というか怖い。



「奏」

「んー?」

「お前体調とか大丈夫なの?」

「うん、特には。
 ……あ、でも」

「でも?」

「ちょーっとだるいかな」

「だるい?」

「ん、いや苦しい?よく分かんない」



大丈夫なのかそれ。

心配になって顔を覗き込むと
綺麗な黒い瞳が見つめてくる。


「いや、全然大丈夫だよ」


ふっと目を細めて笑う。

でもその奥に、やっぱり少しつらいのだという色がちらっと差したのを俺は見逃さなかった。



「なあ」

「なに?」

「お前カーペットの上で寝るの嫌なタイプ?」

「全然。よく寝っ転がってるし。
 なんで?」



ベットから立ち上がると、小首を傾げて不思議そうにこちらを見上げてくる。




「一緒に日向ぼっこしよーぜ。
 猫らしく」



腕を優しく掴む。
そのまま立たせて、ベットに置いてあったクッションを二人分手に取ると
窓際の日向に放った。


猫化した人間の体調の治し方なんて知らないが
寝かせといて損は無いだろう。



「厚めのカーペットだからあんま体痛くならねぇと思うけど……痛くなったらごめん」

「あー、大丈夫大丈夫。慣れてるよ」



ぽかぽかしたそこで横になると
朗らかに笑いながら俺に倣って横になる。



「はは、あったかー」

「ほんと今日あったけえよな」

「春って感じだよね。
 ……んー、眠くなってきた」



目をしぱしぱと瞬かせて
くあ、と欠伸。



「お休み〜」

「おう、お休み」



目を瞑る奏。

それを確認してから
俺も静かに意識を手放した。




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