エメラルドの航海

□偉大なる航路01
1ページ/4ページ


船をゆく今日の天候は、冬時々春。
双子岬を出た船はウィスキーピークを目指す。


『はー…すごい雪…』


雪の降り積もる見張り台で1人遠くを見つめる。


「180度船を旋回!!急いで!!」
「180度!?何で引き返すんだ」
「船がいつの間にか反転して進路から逆走してるの!!!ほんのちょっとログポースから目を離したスキに!!!波は静かだったのに…」
「ここはこういう海よ。風も空も波も雲も、何一つ信用してはならない。
不変のものは唯一ログポースの指す方向のみ!!おわかりかしら?」
「偉そうにウダってないでさっさと手伝え」


ナミが急いで指示を出すが雪がやみ春一番が吹く。


「レン!!あんたも手伝って!!」
『はーい、十時の方向に氷山あるよ』
「波が高くなってきた!!」
「ナミさん霧だ!!!」
「何なのよこの海はァ!!!」


目まぐるしく変わる天候に船上をあわただしく駆け回る。


『ナミ指針は?』
「またズレてるっ!!」
「何ィィ!!?」


気候が落ち着いてレン以外の全員がヘトヘトになった頃になってようやくゾロが目を覚ます。


「……おいおい、いくら気候がいいからって全員ダラケすぎだぜ?ちゃんと進路はとれてんだろうな」
((お前…!!!;;))
「!?……何でお前らがこの船に?」
「おそーーーっ!!!」


唯一話す気力の残るルフィがウィスキーピークに向かっていることを伝える。


「おーおー悪ィこと考えてる顔だ…。名前…何つったかなお前ら…!!」
「ミ…Mr.9と申します;」
「ミス・ウィンズデーと申します………;」
「そう…どうもその名を初めて聞いた時からひっかかってんだ、おれは。どこかで聞いたことがある様な…ない様な…!!
まァいずれにしろ」
ゴン!
「…あんた、今までよくものんびりと寝てたわね。起こしても起こしてもグーグーと……!!」

「あァ!?」


ゾロの頭に3弾たんこぶが出来上がる。


『おおう…イタそ…;』
「気をぬかないでみんな!!まだまだ何が起こるかわからない!!!
今やっとこの海の恐さが認識できた。”グランドライン“と呼ばれる理由が理解できた!!
この私の航海術が一切通用しないんだから間違いないわ!!!」
「大丈夫かよオイ;」
「大丈夫よ!!それでもきっと何とかなる!!その証拠に…ホラ!!」


船の正面には巨大なサボテンがいくつも連なる島が見えてくる。


「それでは我らはこの辺でおいとまさせて頂くよ!!」
「送ってくれてありがとうハニー達。縁があったならいずれまた!!」
「「バイバイベイビー とうっ!!」」


へばっていたはずの2人は軽い身のこなしで海に飛び込んだ。
一味はウィスキーピークに上陸するために川へ船を進める間に、改めてナミは記録のためる必要があると説明する。


「じゃあそこがすぐにでも逃げ出してェ化け物島でも、何日も居続けなきゃならねェってこともあるのか…!!」
「そういうこと」
「まァそしたらそん時考えるってことで、早く行こう!!川があるのに入らねェなんておかしいだろ!?」
「まーーあんたはそうだろうけど」
「あいつの言う通りだ。行こうぜ、考えるだけムダだろ」
「ナミさんとレンちゃんのことはおれが守るぜ!!」
「お…おいみんな聞いてくれ…!!きゅ…急に「島に入ってはいけない病」が;;」
「…じゃ入るけど、いい?逃げ回る用意と戦う準備を忘れないで」


船は川へと侵入する。


「おいちょっと待て、レンって誰だ?」
「おっさんのとこで仲間になったんだ」
『よろしく』


階段をのぼってきたレンがヘラリと手を振る。


「事情は…その、いろいろあったんだ!!;」
「…大丈夫なのか?」
「大丈夫よ!!なんたって懸賞金5000万!!実力はたしかのはずだもの!!」
「5000万!?ルフィより上だと!?」
「さっきもすごいよく動いてくれて助かっちゃった」
『ん、グランドラインで育ったからね。これくらいはね』
「へえーそうなの」


フードと大きいサングラスに隠されて素顔がほとんど見えないレンにゾロは隠すことなく警戒心を向ける。


『港に人が集まってるみたいだよ』
「?霧でよく見えねェな」
「人か!?人なんだな!?」
『人だよ(笑)』
「「「ようこそ!!! 歓迎の町 ウィスキーピークへ!!!」」」


手を振り旗を振り、住民たちから歓迎を受ける。
海賊を歓迎する港に船を停めれば、町長のイガラッポイが出迎えにやってくる。
歓迎だけではなく、さらには宴の席までもうけたいと言うのだ。

普通なら警戒すべきことなのだが、気を良くしたルフィ、ウソップ、サンジは意気揚々と進んでいってしまう。


「ねェ、ところでこの島のログはどれくらいでたまるの?」
「ログ?そんな堅苦しい話はさておき、旅のつかれを癒して下さい!!
さァみんな宴の準備を!!冒険者達にもてなしの歌を!!」
「………どう思う?」
『んん?……まァなるようになるよ』
「「宴だァ!!!」」


ウィスキーピークの日が暮れる。






次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ