メイン♪(短)

□言葉
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「先生、大好き」

いつものように先生に言う。


すると決まって先生は

「あぁ、愛しているよ」

と言ってくれる。


幸せだなぁ・・・。とバカップルさながらに考えていたある日、気がついた。


私は先生に
「愛しています」
と言ったことがない。


・・・そういや、告白の時も「好きです!」なんてありきたりの言葉だったもんなぁ。


一回言ってみようかな〜。
そう思ったのをきっかけに私は
先生にそう伝えるタイミングを探していたのだが・・・。



これが意外と難しい。


いや、タイミングは普通にあるのだが
なんせ今まで言ったことがない分、いざ言うべき時がきても恥ずかしくて言えない。

『大好き』なら普通に言えるのに・・・。


今日だって・・・。






「先生!クッキー作ったから、コーヒーと一緒にどう?」

仕事中の先生に話しかける。

キィと軋む椅子
「あぁ、ありがとう」

ほんのり笑顔で先生はこっちをむいた。


私は、先生の机の上にクッキーとコーヒーを置く。


先生は一枚とって口にした。
そしてまた笑って
「美味しいよ」
と言ってくれた。

あぁ、その一連の動きすらも好き!


「しかし、よく毎日こんな美味いもんが作れるな」

先生が感心したように言った。


「ふふっ、だって先生を・・・先生が大好きだから!」

ああっ!!ここでさりげなく『愛してるから』って言おうと思ったのだがやっぱり恥ずかしくて普通に『大好き』になっちゃった!!


「お前さんも物好きだねぇ」

先生が苦笑する。


「むぅ・・・違うし。普通に好きなだけだし」
少しむくれて私がいうと

先生はクスクス笑いながら
「私も愛しているよ、亜里沙」





ほら、また。

どうして先生はそんなに簡単に言えるんですか?





そういう感じで、毎日言おうとしているのだが、まったく言えない・・・。
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