メイン♪(短)

□鏡の中の本音
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「お疲れ様ですね、先生」



ふふ、と笑う彼女は

この数時間にも及んだオペでの
疲れなんて微塵も感じさせない



憎らしいくらいに綺麗な笑顔の彼女に


疲れによるため息をつきながら言う



「お前さんも、毎回悪いね

助手なんて頼んじまって」


「いいのよ、気にしないで」





普段はピノコと二人で行うのだが、

どうしても人手が足りないときは

こうやって彼女に手伝ってもらう、




そういう方法を最近とるようになった






既に何度もうちに来ている彼女は

すっかり我が家になれた様子で勝手にコーヒーを入れ始めている




「私にも頼む」


「コキ使わないでくださいよ」


も〜、などと言いつつもコーヒーカップをもう一個出してくれている





「先生、」


コーヒーカップに湯を注ぐ綺麗な手


「なんだ・・・?」



コーヒーの香りが漂ってくる



「ふふ・・・声が疲れていますね」



伏せ目がちなその笑顔



「当たり前だ・・・神経を使うんだ」



そのしぐさ、一つ一つを

こんなにまで愛してしまったのはいつからだっただろう



もう覚えていない







ただ、




はじめて彼女がうちに来て

『先生の助手をさせてください!』




そう言って笑ったその笑顔に


その瞬間に


もう、


心を奪われかけてしまったことは覚えている




 
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