メイン♪(長編)【その包帯を風に乗せ】

□謎
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「…フゥ」

血のついた手袋を取りゴミ箱に捨てる。







血まみれの死にかけの女を拾ってきて家に運んだまではいいが、
本来殺し専門の自分の家に完璧な医療機器がそろっているはずもなく、

とりあえずソファの上に乗せ見てみたところ、

「…コイツはひどいな…。」


崖の下でうめいてたから崖からおちたことは容易に想像がついたが、それだけでなく
鋭利な刃物で刺されたらしい傷跡や、骨折。

驚いたことに明らかに銃などで撃たれた生々しい傷跡もある。

「…随分と訳ありなガキを拾っちまったもんだ」

とはいえ、一度拾ったものを捨てるわけにもいかず。



「やれやれ…」
よく生きていられたなこの傷で。

しかも、喋りやがった。


かすかに女が喋り始めたとき、遺言でも聞いてやるような気持ちで耳を傾けた。

死に行くものの言葉を。



だが、




『し、死なっ!…ない!!』



死を跳ね返すような叫び。
うつろなのにねぜか力のこもった瞳。
この世にしがみつく様に震えている手。
その言葉を聞いたとき、助けてみようと思った。

なぜか、心のそこからこの『命』を助けてみたいと思った。

どうかしてる。もう、瀕死の状態だ。今更手遅れだ。
願わくば痛みもなくあの世へ送ってやればいいのに。

そんな気持ちは消し飛んだ。
叫び、なおも生きようと蠢く女を半ば突発的に家に持って帰ってしまった。


結果、いまだ死ぬか生きるかの瀬戸際の女を治すべく治療をしだしたのだが。

治療といったってとりあえず血を止めるのが先決で、
なんとか止血をしていったん終了したところで冒頭に戻る。
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