メイン♪(長編)【その包帯を風に乗せ】

□とりあえず
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チュルルッ!

「おいしいっす!」

「そいつぁよかったな…。」
何か作ろうと思っても冷蔵庫の中は寂しすぎたので仕方なくカップラーメンを食わしてやったのだが…。そんなたいそうなもんじゃないだろうに。こんな喜ぶとは。

「まともなご飯食べたの何日ぶりだろう!」

「…(また謎ができた)」




「とりあえず、」

「ん?」

「なんであんなところに倒れていたんだ?
お前何者だ?
なんであんな早く傷が治る?
てか、撃たれた傷なんてどこで「ストーップ!!!」…」

「あたしは口が一つしかないの!そんなに一気に聞かれても一気に答えられるわけないじゃん」
クスクスと笑いながら俺の言葉を止めた女は

「ん〜と、一個一個言っていくよ。
なんであそこに倒れてたかというと追われて落ちたから。
何者かは分からない。
傷が早く治る理由はいえない。
撃たれた傷は…追われたときに撃たれたからかな?」



「おい、訳ありすぎじゃねぇか。
てか、自分が何者か分からないってなんだ。
それくらい分かるだろう」

「いや、本当に分からないんだ。
あたし、記憶喪失みたい。」

「記憶喪失?…嘘付け自分の名前は言ってたじゃねぇか」

「だから、亜里沙らしいよって言ったじゃん」

「…どういうことだ?」

軽くイライラしながら聞くと、
フッと急に女の表情は暗くなった。

驚くほど一瞬にして笑みが消え代わりに不安そうな顔になった。


「…分からないんだ。目が覚めたときには暗い部屋の中で。体中痛くって…。
戸惑っていたら部屋に数人の男達がはいってきて…




『おう、目が覚めたかねぇちゃん』
『さっさと教えてくんねぇか?あ?亜里沙ちゃんよう』

『…な、なんのことっ?!』

『はぁ?!いまさらしらばっくれようなんていい度胸してんなぁ』
『おい、まてよ。さっき自白剤打ったんだよな?効いてんのか?』
『そうだった。オラ、さっさと教えなオイ!!』

ドガッ!!

『痛っ!!!』

『ハハハ殺すなよ?』
『いいって。多少手荒にしても大丈夫だろ』

ドカ!!ガッ!!
ボカッ!!

『痛い!痛いっ!!』




…痛みで気を失えば、部屋に戻され朝になるとまた痛めつけられて…。その繰り返しだったんだ。
そのうち
あぁきっとあまりのヤバイ状況でショックからか、記憶喪失になったんだろうなって分かったんだけど…アイツらに言っても全然信じてくれなくて…。」

「まぁ信じねぇだろうな。言い訳に聞こえるんだろう」

「あたしも、なんで記憶喪失になったかと聞かれれば答えられないんだけどさ」

「たぶんあれだ。薬の副作用だろう」
「薬?」
「あぁ自白剤を打たれたらしいんだろ?変な薬を使いまくるとヤバイ副作用がおきるんだよ」
「へぇ…」
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