メイン♪(長編)【その包帯を風に乗せ】
□赤に染まる
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この前みつけたいいお店。
あの喫茶店にもう一度行ってみたくなったのでキリコに
「ちょっと出かけてくる!」と言って家を出てきた。
ポケットには財布。
このまえ行ったときピノコが食べていた「ピノコスペシャル」を食べたいと思ったから。
ということで、Tomまで歩いていると、
「亜里沙〜!」
ピノコがいた。
あたしが歩いている歩道の向こう側。
写楽もいる。・・・犬もいた。
「ピノコ、その犬何?」
車道を横切りながら聞く。
「ラユゴなのよさ!」
聞けば彼女の家のペットらしい
「亜里沙!今ヒマなの?」
「・・・なんで?」
「いまちゃらくと一緒に恋人ごっこちてたんらけど亜里沙も一緒にちよ?」
恋人ごっこ・・・。
なんだそりゃ。
「・・・あたしはなんの役なの?」
「亜里沙はピノコのおねえちゃん!」
「お姉ちゃんか。いいよやろっか!」
しばし、恋人ごっこタイム。
しっかしピノコはおませだ・・・。
写楽がアタフタしてるぞ・・・。
おねえちゃん役を授かったあたしは特にすることもなく、たまに恋に悩む妹(ピノコ)に助言をあげる役として地味に活躍していた。
それ以外はラルゴをなでたりして、じゃれあっていた。
大人っぽいことを言っているピノコは
背伸びしているとか、大人に憧れているとかではなくなんか本気で大人にないたいと願っているようだった。
そういや、この前自分は18歳だって言ってたな・・・。
子供の言うことだから信用せずにへぇ〜と言っておいたが
確かに考え方みたいなのは18歳くらいだ。
とかなんとか考えているうちにひと段落ついたらしい。
「亜里沙、ピノコのどかわいた!Tom行かない?」
「いいね!あたしも行きたかったんだ」
わーい!と言って走り出すピノコを見て
可愛いなぁ・・・。あんな妹はほしいなぁなんて平和に考えていると、
「!!ワォン!!ワンワン!!」
いきなりラルゴが吠え出した。
!!
びびった!
な、なんだ?!
ラルゴはずっと吠え続けている。
写楽が
「こら、静かにしなよ」
と止めているが聞く耳を持たない。
なんか不吉だ・・・。
そう思いピノコに注意を呼びかけようとしてピノコを見ると、ピノコは緑になった横断歩道をわたり始めていた。
しかし、
必然的に赤になったはずの車道のトラックはスピードを緩めていない。
・・・え?
このままじゃ、
ピノコにぶつかる?!
トラックの運転手は居眠りしている。
ピノコの存在にも信号の存在にも気がついていない。
ヤバイ!!
そう思ったのと同時に体は動いていた。
ダッ!
「危ない!!!!」