メイン♪(長編)【その包帯を風に乗せ】
□友達
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私が病院に入ると私を知っている医者はぎょっとする。
瀕死の病人がここにいるのか?
手術しにきたのか?
そういった目で私を見てくる。
あえてそれを無視して、受付をすまし病室がある階段を登っていく。
生憎、私は今日はオペはしない。
今日は、彼女に会いに来たのだ。
コンコンと扉をノックすると「はーい」という声が聞こえた。
中に入るとずいぶんと顔色のいい彼女がいた。
ベットの上に体育座りしている。
変な座り方だな。
「今日はキリコは来ていないのか?」
私が尋ねると
「うん、昼くらいにくるいらしい。だから暇だったんだ」
にこにこしながら彼女は言った。
そういえば彼女は私と話をするのは2度目か。
1回目は会話らしい会話もしていないので実質的に今日が初めてのはずだが、同じ目線で喋ってくる奴だな。
まぁ違和感がないが・・・
まるで友達としゃべるような話し方に少し内心驚いた。
「昨日はバタバタして言えなかったが、
ピノコを救ってくれてありがとう」
「あ〜、気にしないで」
ヘラッと笑いながら彼女が言った。
「いや、そういうわけにいかない。何かお礼を」
何を言われても大抵のことはできるはずだ。そう言うとまた笑いながら彼女は
「あはは、いらないよ!咄嗟に体が動いただけだし」
とあっけらかんと言い放った。