メイン♪(長編)【その包帯を風に乗せ】
□お泊り@
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「すまないが、今日泊めてもらえないか?」
・・・受話器の向こうの亜里沙の言葉に驚いた。
あれから3日後に退院した亜里沙とはあれ以来一週間経つが接点はなかったからだ
「・・・別に構わんが・・・、なんだ?キリコと喧嘩でもしたのか?」
今日は仕事もないし、それに何か事情があるなら一晩くらい全然構わん。
が、理由が気になる。
心なしか彼女の声は沈んでいるような気がする。
「いや・・・喧嘩とかはいていないんだが・・・」
彼女の話だとこういうことだ。
朝、朝食を済ませたキリコの家にキリコと妹さんの父親から電話がかかってきたというのだ。
妹さんが対応したところ、
「久しぶりに日本へ行くんだ。家族水入らずで食事でもしないか?」という内容らしい。
妹さんは久しぶりの父親との再開に嬉しそう。
キリコも嫌そうな素振りはまったくなかったという。
が、すぐにキリコが「おい、亜里沙・は・・」となった。
確かに、キリコと妹さんにとっちゃぁ家族だが、父親さんからすりゃまったく関係のないやつだ。
そこでいち早く亜里沙が「あ、あたしは気にしないで大丈夫だから」と言った。
当然キリコが「何言ってんだ、何が大丈夫だ」といい妹さんが「亜里沙、無理しなくてもいいのよ?」
と言ってくれたらしいのだが、
そこは話が別だ。彼女は咄嗟に
「あー・・・、!そうだ、ピノコのうちに泊めてもらえるか聞いてみる」と言ったらしい。
反対するキリコ(何故だ)、戸惑う妹さんを説得して今、私に電話してきた。