メイン♪(長編)【その包帯を風に乗せ】

□とりあえず
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「んで?その後はどうしたんだ」

「うん、訳わかんないけどいい加減逃げなきゃ殺される!って思ったから決心して逃げ出したんだ。数人の男をぶっ飛ばしながら」

「…スゲーな、壮絶」

「でも、やっぱ追いかけてくる人数が尋常じゃないから振り切れなくて、切られたり、撃たれたりで、挙句の果て崖に追い詰められて…、いっそ一か八かで落ちてやろうと思って落ちたんだ」

「アブねー選択するなぁお前」

「仕方ないだろう!捕まったら絶対そのうち死ぬ!でもあたしなら落ちても死なないかもしれないって思ったから…。実際落ちたあたしをみて男達は死んだとおもったみたいだったから」

「そうか…。で?この先どうすんだ?」

「!!頼む!!なんでもするからここに住まわしてくれないか?!」
急にはじけるように立ち上がって、床に正座して言ってきた女におれはギョッとした。

「なっ…!なんで俺がっ!」
「頼むよ!あたし、あたし帰る場所もないし!このまま彷徨っていたらやばいから!少しのあいだでもいいから!な?」
そういうなり、頭を抱えて顔を伏せた女は泣いているみたいだった。

「…」
よく考えてみりゃぁ、そりゃ怖いよな。
きがついたらいきなり殺されかけて、死にかけて。
わらにもすがる思いって言葉があるが、死神にすらすがりたくなる気持ちも分からなくはない。

俺も、一度かかわっちまったものをいきなり放り出すもの気が引ける。

困ったなぁ…。ため息を一つついてから言った。
「わかった。住まわせてやるよ」
「!!マジか?!」
「あぁ…まぁ成り行きだしな」
「ありがとう!やったね!」
泣いたであろう赤い目で嬉しそうに笑う女に久しく感じなかった気持ちが湧き上がってきた

(…これは優しさ?)
バカな。死神の俺がか?

「とりあえず亜里沙、俺の名前はキリコだ。ともに暮らすやつの名前くらい覚えておけ」

「あぁ分かった!キリコだな。よろしくキリコ!」
にっこり笑いながら手を差し出してきた彼女に苦笑しながら
「あいよ」
俺も手を差し出し軽く握手した。




よろしく。
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