メイン♪(長編)【その包帯を風に乗せ】

□命というもの。
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怖がるか。
おびえるか。
引くのか。

…怒るか?


どういう反応かなんてどうでもいいはずだが、想像がつかない。

(まぁ、どうでもいいが)

「キ〜リコ!!」
「!!」
また急にいつのまにか背後に!!

「なんだ?またびっくりしてる?!」

「…急に出てくるな」
ムスッとした顔で言うと、

「ひどい!!傷つく!」
クックッと笑うコイツは全然傷ついてなさそうだ。

「・・・ユリはどうした」

「2階。洗濯干してる。手伝います!っていったんだがいいってさ。
その代わり、外で一人でタバコ吸っているかわいそうな兄さんの話相手になってあげてだってさ」

「・・・後半のかわいそう、とか言うのはお前が勝手に考えたんだろう」

「あ、ばれた?」

「・・・」

しかし、色々言うなら今がチャンスかもしれん。

「一応、一つ言っておく」
おもむろに話しだした俺の真剣さを感じ取ったのか亜里沙は静かになって「・・・何?」と言った。


「・・・俺は死神なんだ」

「・・・・・・?」
亜里沙は目を丸くした。


そりゃそうだろう。
一言で意味が分かるはずがない。

「・・・死神?」

「そうだ。それが俺の仕事だ」

ますます分からないというような顔をした。


さぁどう説明しようかな、と思っていると


「・・・兄さん」
窓からユリが顔をだして俺を呼んだ。

「なんだ」

「・・・電話がかかってきたわ。兄さんあてよ」
どことなく沈んだ顔をしたユリを見て、俺はすぐにその電話は依頼の電話なのだろうと気がついた。

「今行く」
無表情に言って、持っていたタバコを落として靴でこする。

何がなんだか分かっていない顔の亜里沙はユリの表情の重さが気になるのだろう。

心配そうにユリのもとへ駆け寄っていた。


俺は家に入り電話に出た。

「…あぁ、分かった。…すぐ行く」
受話器を戻すと

「行くの?」
とユリが聞いてきた。

「あぁ、仕事だ」

「・・・そう」
ここで何かを言い合っても意味がないと分かりきっているから重い空気のまま無言を突き通す。
いつものことだ。


すると、


「あたしもついて行っていいか?」

亜里沙が言った。
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