メイン♪（長編）【その包帯を風に乗せ】
□包帯
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「ただいま…」
「お帰りなさい…ってどうしたの?!その傷!!」
無傷ではいられなかったので、あの喫茶店で手当てしてくれたところ以外の傷はそのままの状態で帰ってきた。
口の端が切れて、
顔に少し擦り傷を作ったあたしを見てユリさんは唖然としている。
「ん…なんでもないよ。大丈夫」
「な、どこが大丈夫なの?!早く手当てしなきゃ！」
あたしたちが玄関先で喋っていたのを聞きつけてかキリコもやってきた。
「おい亜里沙！いったい何をしてきたんだ!!」
「・・・ケンカ？」
「お前はバカか!!また新しい傷作りやがって！早く来い！」
そいってキリコに引きずられキリコの部屋に連れてかれた。
「…ったく、あんまり何度も驚かせるなよ」
「うん…」
絆創膏やらなにやらで手当てをしてもらった。
「お前…この左手はどうした。誰に手当てしてもらったんだ？」
「ん？…あぁ、まぁ色々だ」
何だ？、とか言ってるキリコの言葉は筒抜けであたしはさっきのことを考えていた。
自分はヤバイことにかかわっている人間だとは思っていたが、もしかしたら自分が想像している以上に自分はヤバイのかもしれない。
あの戦う感覚。
あれは体に染み付いている。
あたしは…何者だ？
少し不安になる。
「・・・おい、亜里沙？」
「・・・・・・・」
「おい、聞いてんのか？」
「・・・・！なんだ？」
「…どうした、怖い顔して」
…もし、もしあたしが危ないことをしている人間なら、今ここにこうしてキリコのそばにいるだけでキリコに迷惑をかけているかもしれない。
「おい、マジでどうしたんだ？亜里沙」
「もし、」
「？」
「あたしを追い出したくなったらすぐに言え。すぐに出て行ってあげるから」
あたしが真剣な目をしてキリコに言ったからだろう。
キリコも驚いて黙った。
「あたしはここにいないほうがいいのかもしれない。その時は「ふざけんな」
！キリコ…？
「今更お前を追い出せるか。そんなことはしねぇぞ」
「キリコ…」
「ユリはお前のことを家族として見てるぞ。…俺もそうかもしれん」
「えっ…！」
正直驚いた。
あたしはただの居候のつもりだったから。
そんな、幸せを望んでいいのか？
「い、いいのか…？あたしの話を聞いただろう？あたしはヤバイ人間かもしれな「かまわんさ」
!!
「お前はそんな人間じゃないだろう。俺が保障してやる」
「・・・・・」
「困ったことがあれば俺やユリがいる。もはや家族だ。俺達を頼ればいい」
「・・・っキリコ!!」
やばい、泣きそうだ。
「ありがとうっ…！」
泣き笑いになったあたしに、泣くなよ、と言ってくれるキリコは優しかった。
確かにそこには『家族』のつながりがあった。
やがて遅いので心配してユリさんが見に来てくれたが、あたしが泣いているのを見て
「兄さん！何なかせてるの?!」と怒り「いや！俺は何もしていない!!」とキリコが焦り、いつものあたしたちに戻っていった。